あれから、4年。2011年3月11日の東日本大震災から、4年が経ちました。昨日(3月9日)のニュースによると、福島の災害公営住宅の入居者305人のうち、半分以上(58%)は65歳以上の高齢者。そのうち3人に1人は一人暮らしという実体が明らかになりました。ご近所つきあいもなく、部屋に籠っているというお年寄が多いのです。孤独死につながるこの状況はシリアスで、心のケアやコミュニティつくりが益々大切になってきています。また、東北3県で、仮設住宅の撤去は4年経っても1割程度という報告もあります。
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東京都東久留米市では年に2度ほど「防災情報交換サロン」が開催されています。そこで自治会の防災に関しての取り組みなどが紹介されます。住民の状況や災害時のニーズを知るために、世帯調査を行っている自治体もあります。もちろん、家族情報などを提供するのはプライバシーの問題もあり、なかなか進まない面もあります。しかし、回を重ねるごとに賛同者が増えているようです。
自治会の取り組み(2) M自治会のケース
社会福祉協議会(社協)と自治体の共同調査という形で、「減災・防災対策に関するアンケート」を実施しました。実際は社協がアンケートの作製、印刷、集計、報告書作成を担当。自治会はアンケートの配布、回収、報告書の配布、結果報告会の実施を担当。自治会のある町の人口は1741人、771世帯。高齢化率は19.4%。自治会加入は257世帯(戸建 235、マンション 22世帯)自治会加入率:33.5%。
このように自治会加入率が少ないのは最近の傾向で、あっても機能していないことが多いのです。意識の高い人が数名いると動きが出てきます。この最初のスタートが大きなチャレンジですね。
アンケートからわかること (幾つか抜粋してみます)
<回答者>
○
回答者の41%は30年以上の居住者。年齢の高い人が多い。
○
一方、5年未満の人が19.4%。他の自治会と較べて新しい人も多い。
○
耐震基準前(1981年以前)の家が34%。建て替えた家も多いが、耐震基準前が3割はある。
<家族>
○
夫婦のみが25%、うち60歳以上が87%。日中、70歳以上で一人だけになる家庭が 21.8%ある。
<近所つきあい>
○
生活面でも協力し合えるという人が14%。心配事など言える人を持っているが42%と高い。回答者には中高年の女性が多いことも考慮。
<防災意識>
○
防災訓練、参加した経験は60歳以上の人は多く、年齢差がはっきり。仕事や育児で参加できない人が多い。
○
備蓄に関しては、飲料水(68.5%)、懐中電灯、ろうそく(82.9%)ただし、簡易 トイレ(24%)。
○
家具の固定は半数近くの家で実施(46.8%)。新耐震基準以前の家76軒で、耐震補強をしているのは12軒(16%)
○
災害時、避難所生活が長期化したと想定した場合の不安は「トイレ」問題がトップ
(87%)、ついで「水、食料」(70%)、プライバシー(55%)
○
災害時の避難で近所に気になる人(要援護者)を把握している人が多い(76%)。ほとんどの人が(87%)自分や家族の安全を確認した上で「要援護者」への支援をしたいとしているのは心強い。
また、この調査では、この自治体に福祉医療の資格を持つ人が21%もいることがわかりました。大変、心強いのではないでしょうか。地元コミュニティのリソースを知る事、普段から信頼関係を築くことが大事ですね。
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一般社団法人 災害支援団体 クラッシュジャパン
次期東京災害対策担当
日本防災士機構公認 防災士
栗原一芳
(くりはら かずよし)
contact@crashjapan.com