2013年9月24日火曜日

災害救助の法律と保険



竜巻の前兆ポイント









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1.災害救助法
1947年に制定。災害に際して国が地方公共団体、日本赤十字社、その他の団体及び、国民の協力の下に、応急的に必要な救助を行い、災害にかかわった者の保護と社会の秩序の保全を図るのが目的。法の適応基準としては、市町村の人口に応じた一定数以上の住家の滅失がある場合。援助の種類としては、仮設住宅の供与、炊き出しその他による食品の給与、飲料水の供給、衣料、生活必需品の給与または貸与、救出作業、学用品の給与、埋葬、死体の捜索、死体の処理、障害物の除去など。援助は金銭でなく、現物で行う。

2.激甚災害指定
1961年に制定。著しく激甚である災害が発生した場合に、国の地方公共団体に対する特別の財政援助や被災者に対する特別の財政援助、被災者に対する特別の財政措置に付いて定めた法律が適用される災害指定。

3.災害弔慰金法
台風や地震、豪雪などの自然災害によって亡くなった人の遺族に対する弔慰金の支給、また、その災害によって一定程度の障害が残った人に対する障害見舞金の支給、さらに住居などに被害を受けた人に対する災害援護資金の貸し付けを定めたもの。残された遺族に対し国が弔意するものであり、現金が給付される。事務の実施主体は市町村である。
 災害弔慰金
1)受給対象となる遺族:配偶者、子、父母、孫、祖父母
2)支給額:生計維持者が死亡の場合=500万円
      その他の人の死亡の場合=250万円
  適用事例として、地震のショックや疲労、車中泊などによる心筋梗塞など 
  による死亡も「災害関連死」として災害弔慰金が支給された。

4.被災者生活再建支援法
阪神・淡路大震災が契機となり1998年に制定された。2004年には支給限度額の拡充と、住居安定支援制度が追加された。さらに2007年には「定額渡しきり方式」による支給方法の導入、年齢、年収要件の撤廃などを内容とする改正が行われた。2010年には甚大な住宅被害が広域的に散在している場合にも対応できるよう、支援金の支給に関わる自然災害の拡大を内容とする政令が改正された。支給対象世帯の要件としては、住宅が全壊した世帯、住宅が半壊、または住宅の敷地に被害が生じて、その住宅をやむをえず解体した世帯。災害による危険な状態が継続し、住宅に移住不能な状態が長期間継続している世帯。住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯(大規模半壊世帯)となっている。

5.被災者雇用に関して (東日本大震災のケース)
1)被災地での損壊家屋の処理による雇用創出(環境省)
2)応急仮設住宅の建設、運営における雇用創出(国土交通省)
3)被災住宅の円滑な補修、再建の支援による雇用創出(国土交通省)
4)農地、農業用施設、海岸林、林地、漁港の復旧の推進(農水省)
                       など
6.義援金、救援物資
義援金は、日本赤十字社と共同募金が中心となって受け付け、その配分は、配分委員が決定し、給付する。被災都道府県、市町村は、国民、企業からの救援物資について、被災者が必要とする物資の内容を把握し、受け入れの調整に努める。



災害と損害保険

1.地震保険
対象:
住居のみに使用される建物および併用住宅が対象となる。工場や事務所専用の建物は地震保険の対象外となる。家財には30万円を超える貴金属、宝石類、通貨、有価証券、預貯金証書などは含まれない。

支払われるケース:
地震もしくは火山噴火または津波を直接または間接の原因とする火災、損壊、埋没または流失によって保険の対象について生じた損害で、かつ損害程度が全損、半損、一部損となった場合。

支払われないケース:
地震などの際における紛失または盗難による損害、地震などの発生日から10日経過後に生じた損害、故意もしくは重大な過失または法令違反に寄る損害、戦争、内乱などによる損害。

加入条件
地震保険は単独では契約できない。火災保険とセットで契約する。現在の火災保険に地震保険を追加契約することができる。契約金額は5000万円、家財は1000万円を上限として、セットで契約した火災保険の契約金額の30%50%の範囲内で決める。民間保険会社には地震保険以外では唯一となる住宅向け地震補償(地震被災者のための生活再建費用保険)を専門的に開発、販売しているところもある。この保険は新耐震基準を満たす持家住宅であれば、火災保険・地震保険の加入有無に関わらず、単独で加入できる。

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日本防災士機構認定 防災士
一般社団法人 災害支援団体クラッシュジャパン 次期東京災害対策担当
栗原一芳

crashkazu@gmail.com

2013年9月5日木曜日

地震と日本の原発




まず、この写真を見て欲しい。モダンアートではない。これは除染の際出た汚染土。それを袋詰めしたバッグの山。際限なく溜まってゆく。


















こちらの写真は汚染水タンク。こちらもどんどん溜まっていく。


















さらに、下図でわかるように日本の54基の原発の使用済み核燃料プールは、あと10年もするとどこも満水になる。



2011年の国連大学のリポートによると日本は自然災害リスクランキングで世界第5位。つまり、世界で5番目に危ない国とされている。日本には活断層が2000あると言われ、そのうち長期評価がされているのは110本。世界の地震の2割が日本周辺で起っていることだけみても納得がいく。そんな日本に原発が54基。一番多いのはアメリカの104基、続いてフランスの59基、日本は3番目に多い。









2007年の新潟県中越沖地震では、震度6強の地震が稼働中の刈羽原発を襲った。稼働中の原発に震度6強が襲ったのは世界初。その結果3億ベクレルの放射能漏れ、3100カ所に故障ありとされ、その後、運転再開まで2年を費やしている。たが、その経験が生かされない中、福島の事故が起ってしまった。




(震災後の福島3号機)

今回、福島第一原発事故では「想定外の津波」が問題視されているが、ここで注目したいのは、刈羽原発では津波の被害はなかったが激震により変圧器火災が起ったという事実。実は東日本大震災では青森県東通り、宮城県女川、福島第一第二、それに東海村第二原発で震度6を観測。その5つの原発すべてで事故が起っていることだ。津波の被害はそのうち1つ。あと4つの原発は激震で事故が起っている。4カ所で電源を失い、1カ所で爆発ということだ。以前に起った刈羽原発事故、志賀原発事故を含むと日本の原発は震度6以上で100%事故が発生したことになる


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知られざる東海村第二原発の危機

3:11では福島第一原発に報道が集中していましたが、東北の5つの原発すべてで事故が起っていました。特に東海村第二原発(第一は廃炉作業中)ではあわやメルトダウンという危機に直面していたのです。津波の被害は受けなかったのですが、それも危機一髪状況でした。というのも元々4.9mの防潮堤を6.1mにかさ上げする工事行われており、何と東日本大震災の2日前に完成したばかりだったからです。そこに5m級の津波がきて、わずか70cmの余裕で危機を逃れたのです。もし、工事が数日遅れていれば、福島と同じ状況となったのです。ただ、問題は津波だけではなく、激震により4カ所の外部電源は遮断されました。非常用ディーゼル発電機の一部も故障しましたが、稼働できる発電機を手動でなんとか動かし、冷温停止に持ち込んだのです。(通常冷温停止は1日でできますが、4日目にようやく停止したのです。)間一髪でメルトダウンを免れたのです。しかも、5キロ圏内に8万人、30キロ圏内には100万人が住んでいるのです。東京までも110キロ、大惨事になっていたでしょう。これを受けて16年間東海村の村長を勤めた村上氏は日本全国17の原発立地村の村長で唯一「脱原発宣言」を表明しました。


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福島では今だに、毎日400トンの汚染地下水が海に流出し、汚染水貯蔵タンクからも汚染水漏れ(それも1つのタンクだけではない)がシリアスな問題になっている。原子力規制委員会はこの事故を「重大な異常事象」であるレベル3とした。実は汚水タンクだけではない。そもそもメルトダウンした1号機から3号機までの内部が現在どうなっているのか誰もわからないという異常事態なのだ。京大原子力実験所の小出助教授によると、すでに大気中にあの広島原発の168発分の放射性物質が放出されてしまったという。また以前このブログでも紹介したが、4号機の使用済み核燃料プール問題。倒壊の可能性ある4号機のプールから1300本の燃料棒を1本づつクレーンで取り出す作業をしなければならない。(被災当時、上階が吹き飛ばされてむき出しとなった燃料プールに1000数百本の使用済み核燃が放置されていた。)日本の原発の19基はすでに築30年を経過している。廃炉にするのに40年、放射性物質の放出が止まるまでに100万年と言われている。最終処理場は決まっていない。小出助教授は「原発はトイレの無いマンション」と表現している。途方も無いものを背負ってしまったことになる。



さて、事故は起ってしまった。しかし、今大事なのは「同じ事故を繰り返さない」ということではないだろうか。地震は来る。昨今話題の「南海トラフ地震」の北の部分の震源域(つまり東海地震の震源域)のまっただ中に浜岡原発がある。震度予測では6強。東日本大震災をうけて、22mの堤防を建設中だが、写真のように砂地に立っている。大丈夫なのか。また、説明したように、事故は津波で起るだけではない。原発内は蜘蛛の巣のようにパイプが張り巡らされている。冷却装置が故障すればたちまち燃料棒の温度は上がる。もし爆発ということになると大気中に放出された放射性物質は8時間−10時間で東京に届く。首都東京が汚染地域となるのだ。南海トラフの震源域は今回の東日本大震災の2倍の1000km。千葉から鹿児島までの広範囲に激震が襲う。




東京新聞の記事にあるように、その被害総額は220兆円という天文学的数字となる。しかも、それは原発事故を含んでいない。現在福島のタンク汚染漏れ処理だけで100数十億の税金が投入される。国の年間予算は99兆円。一体どうするのか?

同じことを起こしてはならない。しかし、地震は確実にやってくる。ではどうすればいいのか。いち早く、廃炉を決定し、浜岡原発の燃料棒を他の地域に運び出すこと。停止していても燃料がある限り、永遠に冷却し続けない限り、地震事故の可能性は存在するのだ。


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日本防災士機構認定防災士
一般社団法人 災害支援団体クラッシュジャパン 次期東京災害対策担当
栗原一芳
crashkazu@gmail.com

2013年8月20日火曜日

自然災害警報



気象庁は気象によって「重大な災害が起るおそれのあるとき」には「警報」を、「災害が起るおそれのあるとき」には「注意報」を発表する。


地震警報
震度速報の第一報は地震発生後約1分半後までに発表される。地震は同じ場所で繰り返し起る。地震が発生すると先ず、縦揺れのP(Primary)が秒速約7キロで発生、それに続きS波(Secondary)が秒速4キロで発生。P波を捉えて緊急地震速報が流される。これによって震源地からの距離にもよるが、数秒の余裕ができる。年々精度は高くなっているとはいえ、まだ100%ではない。警報を聞いたら先ず、上を見る。落ちて来る者が無いか?そして頭をカバンなどで保護する。次に下を見て躓くものがないかチェックしておく。そして、逃げ道を探すため周りを見る。ただし、5強以上だと歩くのが困難になるので、やたらと移動しない方がいい。

大地震時には火災が起る。一般に家が倒壊すると火災が起る。あるいは津波が火災を起こすこともある。大地震後は消火活動が極めて困難になる。理由は

1)同時多発火災に消防署も対処できない。
2)地震が家が倒れて道をふさぎ、消防自動車が通れない。
3)地下の貯水槽が揺れによりダメージを負い、放水をはじめたものの、すぐ水が止まってしまった。また水道管が折損して、水が地中に漏れ出した。
4)ビルが焼け止まりになると思いきや、窓ガラスが割れ落ち、火が建物の中を通り抜けて反対側に出て延焼した。
5)地震で一旦、停電し、再び電力が復旧したときに、地震時に使用していた電熱器具に電気が通って出火する通電火災が多く起った。
6)道路が液状化し、時に砂まじりの水を地表へ吹き出す噴砂現象が起り通行を困難にする。
7)木造密集地帯では同時多発的に火災が起り、火災旋風となり消防活動を困難にする。

延焼からの避難所(広域避難所)を確認しておく必要がある。耐震化をして家が倒壊しないようにすることは消火活動、援助活動を妨げないためにも重要である。日本では2011年の6月からすべての住居に住宅用火災警報機の設置が義務づけられている。住宅火災では逃げ遅れによる死者が約70%を占め、死者数の約半分は高齢者であることから、対策が求められる。特に独居老人が増加するなか、ふだんからのコミュニケーションが大切。また、インテリア、寝具、衣料などの防炎化を図ることも重要。


津波予報
震源が海底にあり、津波を引き起こす可能性のある大地震が発生した場合には、地震が発生してから約3分後を目標に津波警報、または津波注意報を発表。全国66の予報区ごとに、沿岸での津波の高さ、到達時刻を予測し、津波情報として発表される。津波は何度も来る。津波は湾奥で高くなる。津波は川や運河を遡上する。(東京湾と違って地形上大阪湾では津波の被害が大きくなる。南海トラフでは5mが予測されており、川を逆流してJR大阪駅まで浸水するとされている。最近の予測では大阪駅周辺で、最悪5mの浸水。梅田地下街は「日本最大の迷路」と言われており浸水の被害が大きくなる事が予想される。津波は20cmでも立ってられず、1mで死亡率100%と言われている。とにかく上へ、できるだけ高いところ(鉄筋コンクリート造建物の5階以上)へ避難。防潮堤などの整備は不可欠だが、大地震時には液状化で防潮堤が沈むことも考慮に入れる必要がある。(名古屋湾の防潮堤は液状化で最大2.9m沈下する試算が出ている)南海トラフ地震で、名古屋でも最大5mの津波が予測されており、もし防潮堤が沈むと、津波は湾岸に進入する可能性が大きい。名古屋は日本一のゼロメートル地帯が広がっており、被害が甚大となる。


火山警戒情報
警戒レベルや危険範囲に応じて「避難」「避難準備」「入山規制」「火口周辺規制」「平常」の5段階で警戒を呼びかける。2012年4月現在、29火山において、噴火警戒レベルを導入。火砕流は内部温度が数百度C,流下速度時速
100Kmを超えることもある。すべてのものは焼き払われ生存者はあり得ない。2000年の有珠山噴火は日本で初めて噴火予知に成功した事例である。各自治体がすでに作成、公表してあった火山防災マップに基づいて危険区の住民に対して避難を指示し、住民も迅速に行動し、一人の死傷者も出さずに済んだ。ちなみに2000年の三宅島の噴火では全島民避難という事態になり4年5ヶ月ぶりに帰島が許された。地震は数秒だが、火山活動は数年に及ぶこともありうることを覚えておくべきだ。噴火後の推移を見守ることが減災につながる。



水害豪雨情報
国土の10%の洪水氾濫区域に、総人口の約50%が居住し、全資産の約75%がこの区域に集中している。日本は世界でも4番目に降雨量の多い国であり、土砂災害危険箇所が全国52万カ所もある。最近は大気が不安定になりゲリラ豪雨があちこちに発生し観測史上記録を更新している。豪雨に関して「これまでに経験ないような大雨」という警告も使用している。川の氾濫だけでなく、排水の問題による洪水(内水氾濫)が都心部では起こりうる。舗装された道では水の逃げ場が無くなるからだ。山岳地では大規模な斜面崩壊(深層崩壊)が発生している。気象庁の降水ナウキャストでは目先、1時間から6時間の雨量分析を1km四方の細かさで予測。Yahooの災害サイトで登録すると登録地域の豪雨の情報(何時頃どのくらいの量の雨が降るか)がリアルタイムで携帯に送られてくるシステムもある。



大雪情報
2010−11年の年末年始の大雪被害では鳥取県と島根県のツイッター利用者が雪の情報を共有するためにタグを設定、行政側もこのタグを付けて交通情報を流し、様々な情報を投稿し合って助け合った。このようなリアルタイムの情報交換手段は有益である。

Jアラート
Jアラートとは、地震、津波や武力攻撃などの緊急情報を、国から市区町村へ、人口衛星などを通じて瞬時に伝えるシステムです。全国的にさまざまな手段で情報伝達訓練が実施されます。例えば東久留米市では9月11日(水)に防災行政無線を用いた「緊急情報の伝達訓練」が実施されます。これは市内に設置してある防災行政無線から試験放送を一斉に行うものです。
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災害支援団体クラッシュジャパン次期東京災害対策担当
日本防災士機構認定 防災士
栗原 一芳
crashkazu@gmail.com

2013年8月6日火曜日

災害ボランティア(2)





被災者の心理状態
被災者の心理状態は一般的に次の4段階を通ると言われている。

1段階: 英雄期 (災害直後)
 自分や家族・近隣の人々の命や財産を守るために、危険を顧みずに勇気ある行動をとる時期である。

2段階:ハネムーン期(1週間~6ヶ月間)
 劇的な災害を共にくぐり抜けてきたことで、被災者同士の間に強い連帯感が生じる。外からの援助やサポートに希望を託しながら、皆で瓦礫や残骸の片付け等、互いに助け合う。この時期は被 災地全体を暖かいムードが覆うが、これは世間の注目が減少すると、次第に否定的な感情へと移り変わる可能性がある。

3段階:幻滅期(2ヶ月~12年間)
 被災者の忍耐が限界に達し、援助の遅れや行政の失策への不満が噴出する。やり場のない怒りに駆られたり、喧嘩などのトラブルも起こりやすい時期である。被災者の間で様々な依存症や心理的病状が現れ、自殺の危険性が高まる。被災者は個人個人の生活の再建や自分の問題の解決に追われるため、第二段階で味わった 地域の連帯感や共感が失われていく

4段階:再建期(数年間)
 被災地が「日常」の状態に戻るに連れ、被災者も生活を建て直すために勇気を持つ段階。地域の再建に積極的に参加することで、自信も回復してくる。ただし、心の支えを失ったり、復興から取り残された人にとっては、ストレスの多い生活が続く。


被災者側からは、状況を改善してくれる「機能」よりも、心配してくれる人がいるのだという「寄り添う存在」に救われる場合も多い。「忘れ去られる」ということが一番辛いのではないだろうか。福島の放射能汚染問題は現在進行形である。東日本大震災での「心のケア」はまだまだ必要とされている。





今後期待されるボランティア

1.ボランティアコーディネーター
被災者、被災地の回復具合を見ながら、どこにどのくらいの必要があるかを判断し、外部からのボランティアをしたい人を配分してゆく役割。この役割を負うのがボランティアセンターであり、これなしには、混乱と無駄が出てしまう。災害が起ったらまず、立ち上げなければならないのが、このボランティアセンターであり、ボランティアコーディネータ-の配置である。

2.被災状況情報ボランティア
東日本大震災においては物資の配給にムラがあり、ほとんど届かない避難所もあったと聞く。被災地状況の現状を早く掴む情報システムやツールが必要とされる。クラッシュジャパンでは米国ホイートン大学人道災害研究所との協力によりタブレットやスマホで使える被災地情報把握ソフトを開発中である。実際に運営するには現地で情報をインプットしてくれるボランティアが必要となる。

3.防災ボランティア
国連の試算では、防災のための1ドルの投資は災害時の対応の7ドルに匹敵するという。自然災害自体は防げないが、減災はできる。ハードの面での耐震化、家具の固定。ソフトの面での防災意識の向上、「助け合い」のコミュニティ作り、要援護者の救助体制作り、自治会、行政、NPOなどのネットワーク作りなどが必要とされている。それらを助ける、防災ボランティアの存在が期待されている。防災の「意識」「知識」「技術」を持った民間防災士を育成するため、日本防災士機構が主催する防災士養成講座がある。http://www.bousaishi.net/

3.多様なボランティア
まず、ハザードの違いによりボランティアの形態が変わるということ。水害時には人海戦術で短期間型のボランティア活動がなされるが、大地震時には、被災地が広範なこと、被災者のニーズが多様なことから、それらのニーズに個別に対応する長期間型のボランティアが必要とされる。また、地域性(脆弱性)による違いもある。山間部では過疎、高齢化、孤立化の問題がある。都会では住宅密集や、高齢化に加えて高層階難民の問題がある。停電でエレベーターが止まれば、高層ビルの上階の人々は孤立化する。さらに高齢化が拍車をかける。非常階段はあっても地震の揺れでダメージを受けている可能性があるし、たとえダメージがなくても10階以上を高齢者が水や物資を持って階段を上り下りすることは不可能と言っていい。そこで、階段を上り下りして水や物資を届ける若者による「運び屋」ボランティアが大いに役に立つことになる。


いずれにしても災害時に行政ができることには限界があり、隙間を埋めるボランティアの存在は被災地に無くてはならない存在となっている。

しかし、同時にボランティアが被災地の邪魔になってはならない。宿泊や食事の準備のないまま現地にいってもお世話をかけるだけになってしまう。また、被災者への接し方など、ある程度の訓練も必要。また被災地の現状、被災者の話を聞く事でボランティア自身心理的傷を負うことが予期されるので、きちんとしたディーブリーフ(被災地から出る時のオリエンテーション)も必要となる。以上のことから、宿泊ベースを持つ専門的な災害支援団体を通して行くことをお薦めします。

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災害支援団体クラッシュジャパン 次期東京災害対策担当
日本防災士機構認定防災士
栗原 一芳
crashkazu@gmail.com

2013年7月24日水曜日

災害ボランティア(1)





1995年はボランティア元年

1995年の阪神淡路大震災の時、140万人の被災者に対し、約30万人のボランティアが駆けつけてくれたという。行政が対応できない部分、大活躍してくれた。それで1995年は「ボランティア元年」と呼ばれ、以来、災害時にはボランティアの存在はかかせないものとなった。また同時に、それはレッスンを学ぶ機会でもあった。被災者のニーズとボランティアをつなぐコーディネーター機能が不在であったため多くの混乱もあった。「何かを手伝いたい」というボランティアと「何かを手伝ってもらいたい」という被災者をつなぐ機能が必要であり、「災害ボランティアセンター」というしくみが作られるようになった。



災害対応サイクルによるボランティア活動


1)事前の備え(予防ボランティア、ないし防災ボランティア)

被災地でのボランティア活動の体験や経験や学びを生かし、災害時の初動体制づくり(連携)をスムーズにするため、平常時から様々な主体(地域住民、行政機関、ボランティアなど)を事前にネットワークする。また、防災セミナーなどを行い、住民の災害に対する意識啓発活動を行う。「顔の見える防災コミュニティの創出」が目的となる。住宅の耐震化や家具の転倒防止活動なども行う。災害時の要援助者(高齢者、障害者)を認識しておくことも大事である。この働きは必要かつ重要だが、まだまだ認知されていないボランティア活動である。

2)応急対応(救援ボランティア)

一般の人がイメージする「避難所で被災者の世話をする」、あるいは、「壊れた家の瓦礫を片付ける」などの災害ボランティア像が、この期のボランティア活動。ライフラインの破壊に伴う生活支援への対応、避難所での集団生活の運営支援が主な活動。


3)復旧・復興(復興ボランティア)

仮設住宅での高齢者の見守り、心のケアや町づくり、産業再生などでの支援活動。被災者や被災地が自らの生活環境を再構築してゆくなどの側面支援をする。復興、町づくりには専門家によるアドバイスという支援も必要になる。被災者や地域コミュニティ、行政機関、専門家をつなぐ働きも含まれる。被災者にとっては心配してくれる人がいるという「ボランティアの存在」に救われるという場合も多い。「寄り添う」がキーワード。



ちなみに、震災1年半後、私どもの支援団体クラッシュジャパンに日経新聞が取材に来た。日本人でも被災地のことを忘れかけているのに、また、円高の中、どうしてまだ海外からボランティアが来続けているのか知りたいということだった。一緒にいた職員(宣教師)は「神の愛でしょうね」と答えていた。

(つづく)











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一般社団法人 災害支援団体クラッシュジャパン 東京次期災害対策担当
日本防災士機構認定 防災士      栗原一芳(くりはら かずよし)

crashkazu@gmail.com

2013年7月10日水曜日

災害医療と心のケア



 「いかにして救うことのできる命をすくうか」これが災害時の緊急課題です。

阪神淡路大震災では死亡者が6434人、直接死5500人のうちおよそ9割が家の倒壊、家具による窒息死や圧死で被災直後(5分くらいの間)に亡くなっています。しかし、残りの1割については救命の可能性があったといわれています。問題は同時多発的に負傷者や死者が出るので対応しきれなくなるということです。阪神淡路では要救援者の約8割は近隣住民によって救出されています。地域住民レベルで資機材の取り扱いや、基本的な救援、救護法を学び、一人でも多く、一刻も早く助け出すための備えをする必要があるのです。ちなみに「救助活動の3種の神器」はバール、のこぎり、ジャッキだそうです。地域レベルで備えておくといいでしょう。

それから、なるべく多くの方が地元消防署で行っている救命技能訓練を受けて、AEDの使い方や、心肺蘇生法を生んでおくようにしたいものです。日本では年間、10万人くらいの人が突然死で亡くなります。突然心停止の主な原因は、心筋がけいれんを起こして血液を送り出すことができなくなってしまう、心室細動です。心停止後約3分で、死亡率は50%に達すると言われていますが、119番からの通報で救急車が現場に到着するまでに平均6分かかります。その時、救命処置をするかしないかで生存に大きく影響します。正常な呼吸が無い場合は両手で負傷者の胸の中央を5cmくらい沈ませる感じで1分間100回のテンポで繰り返し強く押します。しかし、救急車を呼ぶことが先決です。

救助活動をする場合には、余震による建物の崩壊や救出活動中の崩壊など、二次災害に注意してください。救出作業は複数でして、作業時には活動全体を監視する人を数名置き、状況の安全確認をするようにしてください。救出は「人命の危険が切迫している人」「救出作業が容易な人」を優先してください。


トリアージとは何か?
「負傷度による負傷者の選別」を意味します。一時に多数発生した負傷者を救命するために、到着した順番ではなく、「緊急度」と「重症度」による治療優先度を数十秒から数分で決定します。これは、死者や、救命不可能な超重傷者に治療の優先権を与えないということも意味します。また、必ずしも、子ども、女性、高齢者、障害者であるという特性に基づいて治療の優先が決定されるのではないことも意味します。トリアージされた人には手首、または足首にトリアージタッグが付けられます。治療の優先順位別に色分けされています。
     
     赤:緊急
     黄:非緊急
     緑:軽処置
     黒:死亡、不処置

被災地の防災拠点(小学校等)ではトリアージするスペースを確保しておくことも重要です。トリアージされた後、負傷者の搬送(トランスポーテーション)、そして治療(トリートメント)となります。


クラッシュシンドロームとは?
四肢が長時間挟まれると、筋肉に血液が供給されなくなり、完全に血流が遮断されると、筋肉は4−6時間で不可逆性の壊死に陥り、筋肉細胞が破壊され、多量のカリウムが出されます。この状態で圧迫が解除されると、カリウムを大量に含んだ血液が全身を巡り、最も重症の場合は、心臓の拍動が止まってしまうのです。長時間下敷きになり、四肢の圧迫を受けて数時間経過した人については、圧迫を除く前に止血帯で圧迫し、血流を再開させないように処置しなければなりません。救急隊や医師が到着する前に行える事は、カリウムを含まない水を与える事、保湿・加温することや元気づけることであり、未処置の状態で容易に四肢の圧迫を除いてはならないのです。


PTSDとは何か?
心的外傷後ストレス障害と訳される。災害や事故などで生命の危機を体験したり、財産や家族を失うなどの心的外傷(トラウマ)を受けた人たちが、その後の日常生活において、その時の状況や体験を繰り返し想起しては苦しむ状態です。災害時には誰でもストレスを受けます。短期のボランティア活動でもストレスを受けますが、それは正常なことです。災害時の正常なストレス反応を「急性ストレス障害(ASD)」と言います。ASD PTSDの区別は少なくも一ヶ月経過しないと分かりません。急性ストレス障害のケアは心理療法士が対応できますが、PTSD は、熟練した高度な専門知識を持つ精神科医が担当すべき病態です。災害時には職業的救援者(自衛隊、消防隊員、警察官など)も遺体や悲惨な光景を目撃し、またトリアージなど重要な判断に際し、大きなストレスを受けます。被災者と接することでストレスを共有、自らの家族の安否もわからないまま災害現場を体験するなど、PTSDが起りやすく、「隠れた被災者」と呼ばれていることも理解しておきましょう。職業的救援者へのケアも必要なのです。9:11貿易センタービルの惨事の対応にあたった職業的救援者のケアのため唯一政府公認で制限区域に入って奉仕したのは救世軍でした。避難所運営の市民ボランティアも同じ被災者です。彼らも不快な環境で長時間奉仕し、避難所入居者同士のトラブルや苦情でストレスが蓄積されていきます。誰もお客さんはいません。皆がお互いを支えてゆく姿勢が必要とされます。

避難所での死(災害関連死)も多数起ります。悲しい事ですが、せっかく災害からは生き延びたのに、ストレスの多い避難所で亡くなってしまうのです。特に持病が悪化してしまうケースが多いのです。高齢者をトイレ近くに配置するなど、少しでもストレスが少なくなるよう前もって計画したいものです。避難所では生きる気力が無くなり、生活不活発病になる高齢者も多く出てきます。側に寄り添うボランティアの存在も大きな助けです。東北の震災では車での寝泊まりでエコノミー症候群になった人達もいました。

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依頼に応じて随時、防災セミナーを行っております。(都内のみ)セミナーに関しては、メール crashkazu@gmail.com(栗原)まで、あるいは、クラッシュジャパン事務局(050−1213−1388)までお問い合わせ下さい。


日本防災士機構認定防災士
災害支援団体クラッシュジャパン(一般社団法人)次期東京災害対策担当
栗原一芳(くりはら かずよし)