2016年12月1日木曜日

南関東大地震の可能性

戦後、震度7が3回あった

地震の揺れスケールは震度0から10の10段階で、震度5、6、のみ「弱」と「強」がある。最高値が震度7で、どんなに大きな揺れでも震度7と記される。マグニチュードは地震の規模を示すので、同じM7でも震源が海底だと、陸上では震度5だったり、6だったりする。先日の福島沖地震はM7.8という相当に大きなものであり、津波も発生したが、揺れは震度5弱だった。しかし、内陸直下地震の場合、震源が真下なので、M7で、震度7が出ることがある。震度7は異次元の大激震である。戦後の震度7は以下のとおり。

1995年  阪神淡路大震災         最大震度7
2011年  東日本大震災          最大震度7
2016年  熊本地震            最大震度7

戦後71年の最初の49間は起こっていない。阪神淡路大震災が21年前なので、わずか21年の間に震度7が3回起こっていることになる。阪神淡路から東日本までが16年差。さらに、2011年の東日本大震災から2016年の熊本地震までは僅か5年差である。さらに、激震である震度6(はわないと歩けず、崖崩れ多発。ブロック塀は倒壊)を入れるとこんなに頻繁に起こっている。

2000年  神津島          最大震度6弱
2004年  新潟県中越地震         最大震度6強
2007年  新潟県中越沖地震     最大震度6強
2008年  岩手、宮城内陸地震    最大震度6強      
2014年  長野地震                  最大震度6弱
2016年  鳥取地震            最大震度6弱

しかも今後は、都心南部直下地震(いわゆる首都直下型地震)が30年で70%、死者が東日本大震災の17倍で国難クラスの南海トラフ地震も30年で70%の発生確率となっている。

さらに、地震と関係すると言われる火山噴火を見ると・・・

2000年 三宅島噴火 世界記録上最長期最多量のガス
2011年 霧島、新燃岳噴火
2014年 御嶽山噴火
2015年 桜島噴火
2016年 阿蘇山噴火 
  
そして、富士山噴火が懸念されている。

これほどの地震や火山噴火が頻繁に起こっている国が他にあるだろうか?
京都大学火山学者の鎌田教授は「大地動乱時代の幕開け」と評したが、的を得た表現だろう。


今も余震が続く福島沖地震
11月22日にはM7.4福岡沖を震源とする地震が発生。最大震度は5弱だが、海溝型地震のため、津波が発生。仙台港で最大1.4mの津波が確認された。マスコミで取り上げられなくなると、もう終わったのかとおもいきや、余震が今も続いている。この数日の震度2以上の地震を見てみると・・

11月27日 17:06 震度2
11月27日 19:17 震度2
11月27日 21:50 震度3
11月28日  7:16 震度2
11月28日 17:46 震度2
11月28日 19:24 震度2
11月30日  8:19 震度2
11月30日 12:32 震度2 



気象庁はこれを東日本大震災の関連地震と解釈している。実はここが問題なのだ。もともと東日本大震災は年8センチづつ日本側に押し進む太平洋プレートの軋轢によって起こっている。日本側のプレートがひずみ解消のため跳ね上がって、地震と津波が起こった。縦500キロ、横200キロが震源域とされた。宮城沖から南に伸びる太平洋プレート沿いの海底が動いた。(最大では50m)当然、同じ太平洋プレートのさらに南の部分、まだひずみのエネルギーが解消されていない部分に地震が起こる可能性は十分ある。今回の福島沖も想定内なのではないか。さらに、今後のことを考えると、さらに南、つまり房総沖から小笠原あたりのプレート境が震源となる恐れがある。房総沖の危険性はこのブログでもすでに取り上げている。(2015年3月4日投稿)


小田原付近を震源とする南関東大地震の可能性
12月年1月に南関東で大地震 四国沖も危 恐ろしいほどの的中率MEGA予測
夕刊フジ(201611251655分)に載った記事。
MEGA予測とは、衛星データを駆使して地殻の異常変動を観測、巨大地震を予測するというもので、すでに22日に24日に起きた福島沖地震を警戒地域に指定していた。10月に震度6弱を記録した鳥取地震も的中させている。この予測で12月から来年1月にかけて最高レベルの警戒を呼びかけているのが南関東で、西日本では四国でも危険な兆候がみられるという。


 
MEGA地震予測は、測量工学の世界的権威で東京大名誉教授の村井俊治氏が立ち上げた民間会社「地震科学探査機構(JESEA)」(東京)が実施している。
村井氏は話す。
 「これまでの観測では北茨城と筑波の間の高低差が大きくなっているほか、房総半島の銚子と館山の間の格差も広がっている。伊豆半島や駿河湾沿岸付近にも沈降が確認されていることなどから『南関東がおかしい』と判断せざるをえない。12月〜来年1月にかけて、南関東で大きな地震が発生する可能性が極めて高い」

ちなみに、政府の地震調査研究推進本部が全国地震動予測地図2016年版をアップデートし、地震発生確率(今後30年で震度6以上が起こる可能性がある)の局所的な確率を出している。確率の高い地域をピックアップすると・・

横浜  81%
高知  73%
静岡  68%
和歌山 57%
大阪  55%
東京  47%
名古屋 45%

日向灘や四国沖に歪みが溜まっていることが確認されている。南海トラフ地震では四国、紀伊半島の沿岸地域に大きな被害が出ることが想定されている。また、大阪が東京より確率が高くなっている。東京近辺でいうと、横浜が81%とかなり高くなっている。今後は、小田原あたりを中心とする関東南部、房総沖あたりが危険地域と言えるのではないか。

インフラの老朽化が被害を増大する
2015年11月20日、長崎市三和町で道路下の水道管が突然破裂し、1500世帯が断水した。厚労省によると日本の水道管は述べ66キロ(地球16.5周分)だが、そのうちの12%、8万キロは耐用年数を超えているという。さらに東京の場合は地下水の上昇もあり、大きな揺れが起こると被害が増大される可能性が大だ。地震だけではなく、主要河川氾濫による広域の水没も懸念される。いずれにしても長期的な断水は免れない。緊急給水体制、緊急トイレの準備が急がれる。




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一般社団法人 災害支援団体 クラッシュ・ジャパン
次期東京災害対策担当
日本防災士機構公認 防災士

栗原一芳 (くりはら かずよし)
contact@crashjapan.com




2016年9月22日木曜日

災害支援センター立ち上げ

今後も起こる大地震

9月11日のNHKスペシャル「メガクライシス」で今後の大地震の予測について報道されていた。東北大の遠田氏によると、今後、可能性が大きいところが


1)糸魚川静岡構造線上の松本。
2)仙台市周辺とのこと。

京大の山下氏によると、熊本地震後、日向灘で低周波振動が確認されている。海底観測網DONETにより日向灘ではスロースリップも観測されており、3:11前、宮城県沖でスロースリップが観測されていたことから巨大地震の前触れである可能性があるという。また日向灘の地震が南海トラフ巨大地震の引き金になる可能性もある。2020年には東京オリンピックが開催されるが、首都圏直下型地震の発生確率、今後30年で70%という数字は取り下げられてはいない。いずれにしても災害危機迫る中、避難生活は他人事ではない。また、災害支援センターについても知っておくと助けになる。




 避難所生活者、必要の変化

時系列的には、まずは自分の身を守る(自助)、隣近所で助け合う(共助)そして、外部からの公式援助(公助)の順になる。そして、災害直後の被災者のニーズもまずは、身の「安全」、「安心」。具体的には安全な場所、水、食料、排泄、睡眠などとなる。「心のケア」はこの第一段階が満たされてからとなる。被災者の必要品も時間とともに変化していく。

避難生活初日
食糧飲み水絶対量が足りない。家族で分けあう。 衣類、日用生活品が足りない。子どものオムツが必要。  3日目くらいで解決。救援物資が届くようになる。

救援活動第1段階 発生直後
避難、安否確認等の時点 等により組織活動が困難な時期。近隣住民同士の協力により安全な場所への避難、安否確認。 避難生活

2~3日目 食糧が足りない。温かい汁物がほしい。子どものオムツが足りない。診察してほしい。生活用水が足りない。知り合いの安否を知りたい。  おにぎり程度の食糧の提供。

救援活動第2段階 発生~3日目
支援活動の開始 災害ボランティアセンターの設置により組織活動が徐々に可能になる時期 避難所の対応、安否確認、ニーズ調が中心。

避難生活 3日目~一週間 個別援助のニーズが高まってくる 温かい汁物がほしい。野菜、果物がほしい。洗濯したい。お風呂に入りた い。半の自宅から必要なものを引き出してほしい。別の場所に移りたい。
亡くなった人を供養したい。介護を手伝ってほしい。通院したい。買い物に出たい。役所の手きがしたい。
 在宅の高齢者家庭などへの救物資の配給が見落とされがちである。
 電が使えるようになる。テレビからの情報が入ってくる。

救援活動第3段階 発生~一週間
被災者のニーズが個別的なものへ化する時期。 ニーズを把握し、コーディネート力を発揮する時期。 がれきの撤去や、後片付け、物の搬送が中心。
支援活動コーディネートがピークに達する時点。

避難生活~2カ月 仮設住宅などへ引っ越したい。集会場所がほしい。分転換がしたい。プ ライバシーを守りたい。家を修理したい。

救援活動第4段階 発生~2カ月
面の生活維持の時点避難所、仮設住宅へ入所している方や、高齢者や障害者への支援が中心。 災害ボランティアセンターを通常体制に切り替える時点 地元住民の継続的な活動となる時期。
被災者が自立に向けて生活を立て直す時期。
                     (秋田県社会福祉協議会 作成資料より)


災害支援センター開設に向けて
考えるべきこと                 

1. いつ、どういう況でセンターを開設するか? 

  防災課職員、支援NPOの職員も被災している可能性がある。まずは、自助。自分が助
  かる。家族の安否。近隣の安否。それから社協やNPO職員が支援センター開設に向い
  動き出す。初日は混乱状態で、早くても支援センター立ち上げは2日後となる。

  まずは、情報集、先発隊による視察、その情報を元に、センター開設を決
  ることになる訳だが、誰がどういう状態の時、開設の決断をするか決めておく
  ボランティア募集をかける際は、二次災害の危性も踏まえ、安全管理者が安全を確
  認してから一般のボランティアを募る。(得に放射能問題がある場合)

2. どこにセンターを開設するか? 

  ハザードマップなどを参考に、災害予想は地元レベルで具体的に考える。
  各災害シュミレーションにより、幾つかのパターンが考えられる。

  1) そのエリアが全滅の場合。被災地外に開設する。(首都直下型地震など)
  2) 部分被災はあっても、被災地外の本部と連携して、現地ベースとして機能できる
     場合。(先の熊本地震における九州キリスト災害支援センターの場合、本部を
     福岡に置き、現地ベースを熊本内の教会に置いた。)
  3)地元エリアに災害本部を立ち上げるケース。(浸水など局所災害時)



     
3.どの施設をセンターとして使うか?

  1)意思決定チーム実務チームが作業できるだけのスペースがあるか
     意思決定チームが電話対応に忙殺されないように、実務チームを分けておく。
  2)物資の置き場」(及び駐車場スペース)ボランティア宿泊のスペースが
     あるか?または、これらは必ずしも本部オフィスと同じ建物である必要はない
     ので、近隣に使える施設を探すことも可能。
  3)電話回線の使用が可能か。(被災者用、ボランティア用、情報提供用インタ
    ーネット、スタッフ間、センター間の連絡用)それに聴覚障害者用FAXなども。
    被害況の事実などはホームページに載し、いちいち電話応対しなくていいよ
    うにする。被災地にあるセンターは外部からの問い合わせで忙殺される可能性が
    ある。被災者からの連絡用と外部問い合わせ(マスコミ、ボランティア)からの
    電話番号を分けることが賢いやり方だ。

4.センターにどういう部門が必要か? 

  ある社協のボランティアセンターのケースでは
  1)被災地ニーズ受付部門     2)ボランティア受付部門
  3)マッチング部門        4)送り出し部門

  これはシンプルで分かりやすい。ただし、社協など、すでにある程度の組織や人材が
  ある場合は周りにサポートがあるので、このようなシンプルなスタイルでいいかも知
  れないが、ゼロからの立ち上げ、あるいは独立した規模の大きなセンターとなるとも
  う少し複雑になる。

  私の属する一般社団法人クラッシュジャパンの東日本大震災時の組織は以下のようで
  ある。私たちは国際基準である災害時指令システム(Incidental Command
     System=ICS)を採用した。



     

                      (ケビン・エラーズ著)


  まず、災害時対応指令責任者(コマンダー)の元にコマンドチーム(意思決定機関)
  が作られる。コマンドスタッフは以下の4つの役割部門のヘッドの集まりとなる。

  1) 広報ファンドレイズ (祈り、経済的支援のための情報発信)
    クラッシュの場合はウエッブ、フェイスブック、Youtubeを駆使してバイリンガル
    で世界に向けて情報発信し、また独自のビデオニュースを作製し放映した。
  2)安全管理者 safety officer (放射能問題も含む)
  3)リエゾン (地域、地域外の牧師、支援体、社協などとの連絡、調整役)
  4)チャプレン心のケア (支援センタースタッフやボランティアのケア)

その下に実務スタッフが配置された。

  1) オペレーション (リーダーと現場の間を指揮る)
  2) ロジスティックス (物資、倉庫、車の手配、海外からの物資の通関など)
  3) ボランティア・コーディネーション(募集、スクリーニング、現地ニーズ把握)
  4) 会計 (献金の管理、雇用者への給与支いなど)
  5) プランニング (長期的なプラン、救援段階、支援段階、復興段階、計画と予算)
  6) HR人事 (センターで雇うスタッフの面接、給料体系、人事管理) 
  7) 受付 (通常業務が中されないため外者や電話対応、一般電話答する)

  クラッシュの場合、このような「災害支援本部」が東京に置かれ、東北被災地5箇所に
  現地ベースが設置された。現地ベースは被災地から少し離れたところのキャンプ場などを
  活用した。こうすることで被災地の教会や施設に直接負担を負わせることなく援助活動を
  展開できる。またボランティにとっても被災地での活動は精神的にきついものがあるので、
  被災地から離れた宿泊場で、心身ともに休息できる。現地ベースでは専属のスタッフが
  配置され、ボランティアの歓迎、オリエンテーション、被災地への送り迎え、最後のディ
  ブリーフ等を行った。本部オフィスと定期的にコミュニケーション(スカイプ会議など)
  をして変化する現地のニーズを知らせるようにする。


5.コミュニケーション!コミュニケーション!
 
     現場と本部はどうしてもギャップが生まれやすい。コミュニケーションを定期的に取
  り、本部職員が現地ベースを折々訪問することも必要となる。意思決定会議(コマン
  ドチーム)や各部門責任者連絡会、スタッフ全体会、などでスタッフがを会わせて
  意思疎通をることが重要である。誰がどこまで決定できるのかも明確にする。  
  (例えば幾らまでは各部署の判断で使えるなど)また団体内だけではなく、同じ被災
  地で働いている他のNPO,社協、海外援助団体などとも効果的な連携のためコミュニケ
  ーションが必要となる。だいたいの被災地では連携ネットワークのための会議が持た
  れる。自治体、自衛隊、社協、商工会議所、そしてNPO支援団体との連携が取れるこ
  とが望ましい。

6.長期的なケアプラン 況、被災者のニーズが刻々化する。物資から心のケアへ

  教会の場合だと、会堂修理、礼協力、教支援、さらには疲弊した牧師のための
  リトリートなどが為されていく。支援する側も燃え尽きないようにケアが必要。米国
  では救世軍が中心となり、被災地で活動する消防士や警察官の心のケアが為されて
  いる。

  被災者は災害直後にはハイテンションである種の高揚感を経験するが、やがてマス
  コミや、ボランティアが去り、事態が落ち着いて現実が見えてくる頃、絶望感が
  襲っている。3年目くらいから、「心のケア」の必要が増大する。孤独死も増えて
  行く中、継続的仮設訪問などが必要になる。東日本では仮設から復興住宅に移り、
  孤立化が進み、さらにこの必要が増している。

                                
「受援力」という言葉がある。外部からの援助をより的確に効果的に受けていく力。そのために平常時から災害支援(支援する側、支援される側、両面含む)に関して認識、知識を深めておくことが望ましい。

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日本防災士機構公認 防災士

栗原一芳 (くりはら かずよし)
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