2012年5月28日月曜日

東京大震災の被害予測



1)想定震度の見直し

首都直下地震のひとつである東京湾北部地震の揺れは、従来想定の震度6強を上回る震度7との推定が正式に公表されました。沈み込むフィリピン海プレート(岩板)と陸のプレートとの境界が従来想定より約10キロ浅いことが分かったためで、震度7は東京23区の湾岸部や多摩川河口付近と予想されています研究プロジェクトには東大地震研究所、京都大防災研究所、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が参加しました。


2)被害予測 
東京都と神戸を比較し、人口比で約6倍、JRの乗降客で17倍被害想定は単純比較で阪神淡路の5~10倍、時間帯によりこの数値より数倍になる予想。


東京都が想定している地震は前述したように以下の4つです。
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[首都直下型(海溝型)地震]
           東京湾北部地震   (M7.3)
                                 多摩直下地震 (M7.3

                             元禄型関東地震   (M8.2)
[活断層で発生する地震]  立川断層地震 (M7.4
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今回の想定では、最大震度7の地域が出るとともに、震度6強の地域が広範囲になっています。震度6強以上の範囲は、東京湾北部地震 で23区部の約7割に及びます。多摩直下地震の場合は多摩の約4割に及びます。




東京湾沿岸部の津波高は、満潮時で最大T..2.61m(品川区)地盤沈下を含む。 (T.P. = 東京湾平均海面)
河川敷等で一部浸水のおそれがあるが、死者などの大きな被害は生じないとされていますが、高潮の場合6mという説もあり、3:11の時のように水門が閉じないなどの事故が起こった場合、被害が大きくなる事が予想されます。


東京湾北部地震(直下型)の東京都の被害想定見直し
(2012年 4月18日 東京都発表)

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東京湾北部地震の死者が最大で約9,700人 
(内閣府によると11000人)

区部木造住宅密集地域で、建物倒壊や焼失などによる大きな被害

震度6以上にあう被災者が2500万人

建物全倒壊  304,300  (火災焼失と倒壊で計85万棟)

避難者数 339万人 ピーク時 震災1日後   *東北の約10倍

帰宅困難者 517万人 (内閣府では650万人)

エレベーター閉じ込め 9161
閉じ込め人口: 1万2500人 (マンション、オフィス)

経済喪失:112兆円
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湾岸地域ではこれらに加えて液状化のダメージが予測されます。また火災は火災旋風となる恐れあります。今回の湾岸北部地震では死者の55%(6200名)は火災によると予測されています。これらは東京都の発表で、復興の予算等の事もあり、かなり押さえた予測とも言えます。火災の範囲を考えると、専門家の中には死者2万人と予測する人もいます。


さらに、付属的な危険があるもの・・・・


浜岡原発の危険性
中部電力浜岡原発(静岡県)の直下、10km−20kmのところにプレートの境界面があるのです。予測されている東海地震の震源域です。なぜ、こんなところに原発を建ててしまったのかと頭をひねります。直下地震が起これば当然大きな影響が出るのです。現在、停止していますが、津波で冷却装置が故障するなどすれば原子炉の温度は上昇しメルトダウンの可能性もあるのです。もし、福島の時のように爆発が起これば、放射能は風に乗って6時間で首都圏に到着するのです。

中央防災会議2001年12月18日の資料によると東海地震による震源域に浜岡原発が入っており予測震度は6強から7とされています。現在は10mの砂丘があるだけなので18mの堤防を建設中ですが、これでは全然間に合わないのです。現在、想定されている津波は21メートル、新たな安全対策を迫られています


富士山直下に活断層か 山体崩壊の恐れも 文科省調査、自治体に説明 2012.5.10 11:28 1/2ページ)[地震・津波・地球科学


もう一つ、富士山(3776メートル)の直下に活断層が存在する可能性が高いことが文部科学省の調査で9日、分かったのです。地震の揺れで「山体崩壊」と呼ばれる巨大な山崩れが発生、東山麓の静岡県御殿場市などで大規模災害の恐れがあります。この活断層は、マグニチュード(M)7級の地震を起こすとみられ、揺れで東斜面が崩壊し、大量の土砂が雪崩のように下る「岩屑(がんせつ)雪崩」や泥流が発生する恐れがあり「甚大な被害を周辺地域に引き起こす危険性がある」と結論付けました。また、3:11以来、富士山が膨張していることも確認されています。もし、噴火すれば東京でも火山灰が1cmほど積もり通常生活はできなくなるのです












2012年5月25日金曜日

東京に被害を及ぼす地震 (2)



次に、東京周辺に震源地がある地震の場合を見てみましょう。


その緊急性

首都圏の地震、大震災前の3倍に増加 文科省「M7いつ起きても…」 2012.3.7 14:22 産経ニュース

首都直下地震、4年以内の発生確率70% M7クラス、東


大試算 2012.1.23 11:24 産経ニュース地震・津波・地球科学


このニュースは首都圏の人々を驚かせました。首都直下地震が想定されている南関東の地震活動が東日本大震災後に活発化し、地震の発生頻度は現在も大震災前の約3倍と高い状態となっていることが3月7日、文部科学省の特別プロジェクト研究で分かったのです。研究チームはマグニチュード(M)7程度の首都直下地震について「いつ発生しても不思議ではない」としています


 首都直下地震など、マグニチュード(M)7クラスが懸念


されている南関東での地震について、今後4年以内に発生す


る確率が約70%に達する可能性があるとの試算を、東京大


地震研究所のチームが発表したのです。(ただし後で5


0%に下方修正されています。それでも凄い確率です。ちな


みに京都大学の試算では、今後、5年で28%なっていま


。)


 南関東で起きたM3以上の地震の数を大震災の前後半年間で比較したところ、大震災後は約7倍に増加。徐々に減少しているが、現在も約3倍で「地震災害発生リスクは現在も高い」との見解を示しています。

 国はM7程度の首都直下地震の発生確率を30年以内に70%としています。しかし、それは、3:11の影響を考慮に入れていない数字です。あれだけの地殻変動があったのですから、他のプレートにも相当の歪みが生まれているはずです。その影響を考慮に入れ東京の地震が早まったと考える方が自然ではないでしょうか?

首都圏の大地震発生確率は・・・
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4年で50% (東大地震研究所)
5年に28% (京大防災研究所)
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となります。


なぜ、緊迫性が増したのでしょうか?
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首都直下地震、起きやすい可能性 大震災でプレート沈み込み加速 防災科研が分析 2012.3.7 02:00 産経ニュース地震・津波・地球科学

大震災がM8級関東地震早める? 過去にも後続例 防災科研が警戒呼び掛け 2012.5.23 11:35 産経ニュース[地震

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東日本大震災の影響でフィリピン海プレート(岩板)の沈み込みが加速し、関東地方を乗せた北米プレートとの境界部にひずみが蓄積しやすくなっていることが防災科学技術研究所の観測で3月6日、分かったのです。これにより、首都直下地震などプレート境界型の大地震が起きやすくなった可能性が高くなったのです。

フィリピン海プレートの沈み込みが大震災後に加速したことが分かったのは初めてで、大震災の影響が関東のプレート境界にも及んだことを示しており、防災科研の木村尚紀主任研究員は「プレート活動を注意深く見守りたい。関東でも安心せずに地震へ備えることが必要だ」と話しています。

このところ、茨城県南西部で頻繁に小さな地震が起こっていますね。これは、沈み込んだフィリピン海プレートの先端部がある茨城県南西部の地下約40~60キロで、定常的に起こしている微弱な地震なのです。この地震はプレート境界の滑りを示しており、規模などから沈み込む速度を調べることができます。

 その結果、大震災から3カ月間は少なくとも通常の約6倍に加速したことが判明しています。震災直後よりは速度は低下傾向にありますが、現在も通常より速い状態で沈み込んでいます

 首都圏では複数のプレート境界型地震が想定されています。関東大震災を起こしたマグニチュード(M)8級の関東地震は、次の発生が約100年後とされていますが、首都直下地震のひとつである東京湾北部地震(M7・3)は切迫しており、発生が懸念されているのです。

2012年5月24日木曜日

東京に被害を及ぼす地震 (1)



東京に被害を及ぼす地震は東京を震源とするものと、東京以外を震源とするものがあります。東京を震源とするものとしては以下が考えられています。(東京都の予測)

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□ 首都直下地震               東京湾北部地震 (M7.3)
   (海溝型)             多摩直下地震  (M7.3)
                           元禄型関東地震   (M8.2)

□ 活断層で発生する地震  立川断層帯地震   (M7.4) 
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東京以外を震源とするものとしては以下が考えられています。
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      東海地震 (駿河トラフを震源とする巨大地震)
      東南海、南海地震(四国南沖の南海トラフを震源とする巨大地震)
        
*東海、東南海、南海地震の3つは連動する可能性あり。
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先ずは、東京以外を震源とする地震を見てみましょう。

1.南海トラフを震源とする地震 
 東海・東南海・南海地震が起きる南海トラフ(浅い海溝)の巨大地震について内閣府の検討会(阿部勝征東京大学名誉教授の研究チーム、3月31日午後、東京・霞ヶ関で発表)は、3つの地震が連動する最大級の津波と震度の新たな想定を公表しました。


        (左から南海、東南海、東海地震の震源範囲)





                (各地の震度予測)


中央防災会議(7月6日発表)によると3連動地震が夜間に発生すると40万人の死者が出ると予測した。昼間でも12万人、津波被害は静岡県から高知県の沿岸部に集中。


津波を起こす地震の規模はマグニチュード(M)9・1となり、津波高は高知県黒潮町で最大34メートルと推定。震度7の強い揺れの範囲も約20倍に拡大するなど従来の想定を大幅に上回りました 津波高は静岡県から紀伊半島、四国の太平洋岸で20メートル以上となり、高知県黒潮町で最大の34・4メートルに達するというのです!九州東部は約15メートルで、関東でも東京・新島で29・7メートル、神奈川県鎌倉市で9・2メートルと推定されています

 国の中央防災会議による平成15年の想定と比べ、津波高が10メートル以上の自治体は9倍の90市町村、20メートル以上はゼロから6都県23市町村に増えました。

 さて、問題は静岡県御前崎市にある中部電力唯一の原子力発電所である浜岡原発です。

現在、停止中の中部電力浜岡原発(静岡県)の津波高は想定を超える21メートルと予想され、新たな安全対策を迫られています津波高21メートルは東日本大震災後、経済産業省原子力安全・保安院が電力各社に指示した緊急安全対策の水準(15メートル)を上回っているのです。同原発で建設中の防波壁(18メートル)も超えて敷地内に浸水する高さで、安全対策の抜本的な見直しが不可欠になっています

震度6強が予測されている御前崎で、原発停止といっても津波や地震で原子炉冷却装置に問題が起これば、メルトダウンの可能性もあります。あるいは、空気中に放射線が放出されれば、風に乗って6時間で首都圏に届きます


 東海地震は概ね100年−150年の間隔で起こっていますが、前回が1854年の安政東海地震で、それから158年間大地震が起こっていないのです。いつ発生してもおかしくない状態と言えるでしょうこれらの地震は震源地が東京から離れているといって安心してはいられないのです。3:11の際、長周期地震動により首都圏の高層ビルは10分以上「ゆーら、ゆーら」と揺れたのを覚えていますか?長周期時震動は高層部に大きなダメージをもたらすのです。


2012年5月22日火曜日

(2)「大地動乱時代の幕開」


阪神・淡路大震災(活断層型)の発生確率は0.02%—8%でしたが、起こってしまったのです!東京湾北部地震の発生確率は今後4年で50%と発表されています。

2011年1月1日付け、政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会発表によると、今後30年で地震が起こる確率は・・・

宮城県沖  99%(M7.5
三陸沖南部海溝寄り 80−90%(M7.7)
東海地震 87% (M8程度)
東南海地震 70% (M8.1)
南海地震 60% (M8.4)

となっていました。宮城沖地震は99%でしたので、今回の東北の震災は想定外ではありませんでしたが、幾つかの単独で起こると思われていた地震が連動して広範囲で起こったことは想定外でったのです。ところで、火災で死傷の確率は02%。 交通事故で死亡の確率は0.2%。交通事故での負傷の確率は20%だそうです。それでも通常、保険に入って備えをするのではないでしょうか。

ここでちょっと「マグニチュード」の説明。「マグニチュード」震度ではなく、地震のエネルギーの大きさを表す言葉です。マグニチュードが1上がると地震のエネルギーは約32倍、2大きくなると約1000倍になるのです。震度は揺れのレベルを表します。3:11の地震では東京は震度5強でしたが、東京直下で予測されている震度6強ないし、震度7。そうなると全く別世界なのです。そして、当然、震源地に近ければ震度が大きくなるのです。従って、海溝型の場合より、断層型直下地震のほうがマグニチュード的に同じでも、震度はより大きくなるということになります。今回の東日本大震災ではM9.1であっても震源地が離れている海溝型だったので、実際、震度7の地域は限定されていました。東京直下の場合は、震源地が東京の下になるので震度7が広範囲で予測されています。

実は、この20年くらいの間に大きな地震が日本で連続して起こっています。

1990 長崎県雲仙普賢岳の噴火と火砕流
1993 北海道南西沖地震
1995 阪神・淡路大震災
2003 十勝沖地震
2004 新潟県中越地震
2011 宮崎・鹿児島県境の新燃岳噴火(2月)
2011 東日本大震災(3月)

いったい、日本の地下で何が起こっているのでしょうか?
日本に約2000の活断層があると言われています。そのうち確認されているのは約100。活断層型の地震は突然やってきて予測がつけられません。京都大学の鎌田浩毅教授は「まさに、大地動乱時代の幕開けと言っていいでしょう。」と語っています。
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crashkazu@gmail.com  栗原

(1) 世界の地震の2割は日本周辺で!


東京を襲う災害

数年前には香港でSARSが流行、世界都市香港がパニックに陥りました。新しい形の都市災害でしたね。地震の話の前に、ちょっとだけ、大都市東京を襲う可能性のある災害に触れてみましょう。東京でもオウム事件では首都圏がパニック状態になりました。秋葉原無差別殺人事件があり、ただ道を歩いていても事件に巻き込まれるという不安を覚えるようになりました。また、竜巻や猛暑といった自然災害も不安要素です。東京を襲う可能性のある災害は人為災害と自然災害があり、従来型と新しいタイプの災害があります。

1)従来型の災害としては、

    自然災害
       火山噴火災害 (三宅島噴火/今後の富士山
        噴火?)
       風水害
       地震 (今後の東京湾岸北部直下型など)
       竜巻など

    人為災害
       大規模事故
(原発事故、石油タンク爆発炎上、鉄道、
   航空機、船舶事故)

2)新たな災害としては、
    自然災害
       新型インフルエンザ等
       温暖化による異常気象
    人為災害
       武力攻撃災害 (ミサイル、ゲリラ等)
       大規模テロ (無差別殺人)
       サイバーテロ

などが考えられます。一応、これらを念頭に置きつつも、このブログでは東京の次期地震災害にフォーカスしてゆきます。



予測される日本の地震
日本は太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、そしてフィリピンプレートの4つのプレートが交わるところであり、なんと、世界の地震の2割は日本周辺で起こっているのです。(22.9%)




日本は、まさに地震大国。地球の地殻は数10キロ、卵で言えば、殻の部分のように薄いのです。10数枚のプレートが地球全体を覆っています。それらのプレートはそれぞれ違う方向に年間数センチの速さで動いています。その下にはマントルが対流しているからです。太平洋プレートの下では日本に向かって地殻下ではマントルが動いており、日本周辺のプレートの境で下に潜り込んでいます。その結果、太平洋プレートは日本側に押され、それに反発して北米プレートが跳ね上がり、今回の東日本大震災の地震が引き起こされました。

今回、縦幅480キロ、横幅150キロの範囲で平均10mプレートが動きました。東北での3つ、4つの地震は個別に起こるという予想に反して連動して広範囲の地殻変動が起こってしまいました。その結果、牡鹿半島が5m、朝鮮半島も1−4cm動いたと言われています。1978年に中央防災会議で予測した10の地震のうち、8つはすでに起こりました。残っているのは首都直下(30年で70%)、東海地震(30年で87%)なのです*その後の調査で、首都直下は4年で50%と発表






赤いエリアが地震の最も起こりやすいと予測されている地域。