2013年4月30日火曜日

「首都圏大震災の死角」



 1.前回の3:11の時で、すでに浦安市の85%で液状化、東京湾沿岸部だけで東京
        ドーム900個分にあたる約4200ヘクタールで液状化発生。住宅地の被害だけで
        なく、湾岸にある12基の火力発電所や約5000基ある石油タンクが傾く等して、
        石油が流出、火災となる可能性もある。そうすると文字通り東京湾が「火の海」とな
       る。海上には大型タンカーが停泊、航行している可能性もある。1964年の新潟地震
       のときに、地震で破損した石油管から流れ出した油を津波が運んで、水面に広がったと
        ころに火がついて燃え広がり、町に延焼して民家約290戸が焼失した。今のところ南海
       トラフ地震で東京の津波は最大で3mとされるが、強風などにより波がより高くなるこ
       ともあるだろう。(ちなみに東京湾の堤防は3.5mでぎりぎり)この湾岸火災により
       有毒ガスが内陸の民家にも蔓延する可能性がある。環七沿いの木造密集地帯では火災旋
       風、湾岸も炎上、都心部が 火の壁に挟まれ孤立化する。沿岸からの援助も困難になる
       からだ。

2.現在のところ、コンビニ、ガソリンスタンドが災害時帰宅支援ステーションとなる協定が為されているが、震度6強という激震の中での火災。周囲が火災旋風となっている中、コンビニやガソリンスタンドが支援ステーションとして機能できるかは疑問である。基本は「むやみに移動しない」。何も対策をしないと、山手線の満員状態に3時間以上巻き込まれる人が200万人出る予測。それほど外の道は人で溢れてしまう。もちろん、道路は大渋滞。比較的新しいビルであれば、倒壊の恐れは無いのでビル内に留まるほうが安全だろう。都心部の歩道は激震と液状化、落下物により歩くのが安全とは言えない。水、食料、緊急トイレを備えて会社に留まるのが懸命と思われる。ちなみに、東京23区では大地震発生から2時間で81万7千人がトイレ難民となる。最も深刻な千代田区ではトイレは4.5時間待ちとなる。都心でのトイレ対策は必須である。個人対策としても笛や携帯ラジオに加えて常にコンビニ袋とティッシュは備えておいた方がいい。

3.東京では富士山噴火時の火山灰対策があまり進んでないように思われる。富士山は活火山でありながら300年間噴火がない。しかし、3:11の4日後の富士山直下でのM.6.4の地震が発生。その時、マグマ溜まりに与えたプレッシャーは1707年宝永地震直後の富士山噴火の時(50日後に噴火)のプレッシャーより高いとされている。マグマの上昇が確認され、3:11以降、わずかに山全体に膨張が見られるという。最近の富士山道での地割れ、三宅島の小噴火や地震の関係性も気になるところだ。火山灰は雪とは違い、溶けて無くならない。排水溝などに詰まってしまう。また重いので屋根に積もると建物へのプレッシャーになる。またガラス質で健康障害、電波障害を引き起こす可能性もある。交通へも多大は被害が出る。幹線道路の火山灰排除に4日間かかるという。これに関しての都民への教育、防災意識、対策への喚起が少ないのではないか?

4.放射能に関しても同じような事が言える。福島第一原発のメルトダウンした燃料棒の行方、汚染水処理問題、そして4号機のむき出しの使用済み核燃料プール問題。どれも現在進行形で危機状態なのだ。もし福島で再度大地震があったら?これから夏に向かい台風や竜巻の時、4号機のプールは大丈夫なのか?大災害になる危険を秘めたままだ。それに東海地震の震源域のただ中にある浜岡原発。21mの津波が予測されている。現在22mの堤防を建設中だが、完成は年末。2007年の新潟県中越沖地震のとき、震度6強の揺れが柏崎刈羽原発を襲った。稼働中の原発を震度6強が襲ったのは世界でも初めてのことだった。結果、敷地内で大小3100あまりのトラブルや障害が発生した。その教訓も生かせないまま、福島第一原発の事故が起ってしまった。そして、浜岡・・・。震度6以上で事故を起こさなかった日本の原発は無いのだ。確率の問題ではなく100%事故は起る。浜岡では再稼働前提で堤防作りが為されている。しかし、事故は津波だけで起る訳ではない。確かに東京は180キロ離れてはいるが、風下になり8時間で放射性物質が到達する。気象条件によってはかなり濃度の濃い放射線の値が出る事もあるのではないだろうか。その時の赤ちゃんを抱えたお母さんへの勧告、小学生への勧告は用意されているのだろうか?遠方への避難の場合、避難場所は?避難方法は?放射能に関しての都民への教育は十分為されているのだろうか?

5.備蓄はあるが物がない!?多くの自治体は毛布や乾パン、水などある程度備蓄している。しかし、賞味期限が切れたものを処分しなければならないため、コストがかかる。そこで、コンビニや大手小売り業者から被災した時は物資をオンタイムで供給してもらう協定を結んでいる。インターネットのアマゾンで本を注文するように。防災計画ではこういった「流通備蓄」は備蓄したものと見なされ、東京都も国も認めている。しかし、物流倉庫は湾岸にある。液状化や火災の一番起りやすいところだ。仮に倉庫が無事でも輸送手段が無い。道路は地震の影響で寸断されているか、緊急車両規制で通常の運搬はできなくなっている。さらに食料だけではく、薬品も「流通備蓄」なので輸血用血液を含め、怪我人は次々と運び込まれるのに、薬や食料が調達できなくなる。これは、パンデミックでも同じ現象になるが、そもそも自転車操業的で人員の足りない病院に急増する患者に対応する環境がない。ベッドや人工呼吸器などの奪い合いになってしまう。

6.東京は消費地であって生産地ではない。つまり、南海トラフで生産地がダメージを受けた場合でも、莫大な消費地である東京が直接ダメージを受けた場合でも、いずれのケースも全国的に物不足になる。もともと人口密度が高く、機能が集中している東京が被災地となれば、全国から東京被災地を優先に物が運ばれてくる。アリ地獄のように大消費地東京に物が吸い込まれていく。東京を救うために全国民に犠牲を強いるのか、首都圏の被災者に我慢してもらうのか?首都を支えなければ国家は沈没する。国のリーダーは厳しい選択を迫られることになる。

7.経済的な余震。大地震で建物が壊れるだけではない。首都圏直下型の被害総額は11 
       2兆円、南海トラフの被害総額は何と220兆円!すでに日本は1000兆円の財政赤
        字。90年代からラフな言い方をすれば40兆の税収で90兆の予算を作ってきた。
        世界都市東京が壊滅的となれば株や国債は暴落する。超円安もあり得る。国家財政の
        破綻?また、2100年には日本の人口が半減するという少子化社会の中で南海トラ
       フでは国民の6割が被災し、950万人が避難民となる。大地震は国のあり方を大きく
       変えることとなるだろう。「国難」を前にして国民的防災運動を喚起する必要があるの
  ではないだろうか?
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お薦め本
「日本最悪のシナリオ 9つの死角」 
財団法人 日本再建イニシアティブ 新潮社

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コメントお待ちしております
crashkazu@gmail.com (栗原)

2013年4月26日金曜日

立川断層帯地震



 東日本大震災の影響は今も続いています。震源からおよそ400キロの付近の関東の西側と甲信越、それに青森県北部と北海道南部で隆起が見つかっています。地震の直後地盤が東へ引き延ばされたあと、ゆっくりと隆起していて、この2年間で最大5センチに上っているということです。海溝型地震のプレッシャーは内陸部まで及んでいます。そうするとすでに亀裂のある断層が動きやすくなります。


国土地理院の西村主任研究官は、「糸魚川・静岡構造線断層帯や立川断層付近でも地盤の変動が今も続いている。震源から離れた地域でも、地震には注意が必要だ」と話しています。
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データ資料
立川断層帯は埼玉県飯能市から青梅市、立川市、府中市へ伸びている断層帯で、東京のベッドタウンの真下を通っている。日本の活断層の中では地震の発生確立は三浦半島断層帯地震などと並んで相対的にはやや高い。予測としてはM7.4 断層帯の上では震度7。北東側に2−3メートルの撓み、段差が生じる可能性があるという。所沢市や府中市でも6強の揺れ。発生確率は30年以内に0.5%2%だが、阪神淡路大震災の発生確率が0.02−8%だったことを考えるとあなどれない。最大で死者2600人、建物倒壊 85700棟、ピーク時の避難者101万人(東京都予測)となっている。
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立川市は無料での耐震テストを行っているが、耐震補強工事や立て直しには高額な費用がかかり踏み切れない人達も多いようだ。



 東京都立川地域防災センターの役割

南関東地域に広域な災害が発生し、首都機能に甚大な被害が生じた場合を想定し、国は、総合的な防災基地として立川広域防災基地の整備を進めてきました。その中で、東京都防災センターの指揮の下に、多摩地域の防災活動を行う拠点が東京都立川地域防災センターです。


情報収集及び連絡調整機能
 多摩地域の防災活動の拠点として、東京都防災センターの指揮のもとに国及び市町 村など現 地の防災機関と情報連絡、調整などを実施します。

災害対策機能

災害対策室
大型スクリーン、モニターによる被災地の画像情報(準動画像と静止画像)やデータ端末を利用しての各種情報を得ることができます。
モニターを利用して応急対策活動に関するテレビ会議を開くことができます。

通信室
無線電話、無線ファックスを使って被災地・市町村・防災センターと情報連絡を行うことができます。
備蓄・輸送機能

倉庫
多摩地域の救援、区部の後方支援を目的として、非常用食糧・毛布等の生活必需物資及び医療資器材を備蓄するとともに、災害時に即時調達する物資の集積・荷さばきなどを行います。
要員確保機能

災害対策職員立川緑町住宅
応急対策活動を実施する初動態勢の職員用の宿舎を設置しています。(家族用40戸・単身用25戸)

都の出先事業所を設置しています。
・建設局北多摩北部建設事務所の立川工区

建物は、防災棟と住宅棟で構成され、耐震性・免震性や安全性を重視した構造とし、
72時間連続運転が可能な自家発電設備や貯水槽の整備などにより、施設の信頼性確保に努めています。(以上、立川地域防災センター、ホームページより)