要領で歩いて帰宅すればいいんでしょう?
南海トラフ地震では東京は5強と予測されていますから、前回の3:11の体験が活かせるでしょうが、首都直下型地震の場合は東京23区の7割で震度6強以上、日比谷、丸の内、湾岸では震度7も予測されています。すぐに外に飛び出したり、帰宅を急がないでください。東京都では「むやみに移動しない」を呼びかけています。なぜでしょう。皆が移動を開始すると、1平方メートルあたり6人(満員電車状態)の人ごみに3時間以上閉じ込められる人が220万人発生するというのです。東京駅には14万人が滞留します。さらに都心の路上は危険で一杯です。日比谷は字のごとく、昔入江だったところで地盤が弱く液状化が発生しやすいのです。最近では東京下の地下水が上昇してきてる問題もあります。ともあれ、道は液状化で噴砂現象が起き、マンホールは浮き上がり、道は隆起し、ひびが入っているという状態。さらに東京の地下はガス管が張り巡らされ、液状化で倒れる電柱から発火して爆発する恐れもあります。ビルのガラス窓が割れて雨のように降ってきます。湾岸の石油タンクに火災が起れば有毒ガスが流れてきます。もし、比較的新しい丈夫なビルにいるなら、留まっていた方が安全です。環七と山手線の間はいわゆる木密地帯(木造家屋密集地帯)で火災旋風になっている可能性が大です。そこを歩いては超えられません。その状態では帰宅支援ステーションであるガソリンスタンドやコンビニも破壊され火の手が上がっている可能性もあります。震度6以上の大震災時は「動かないこと」が無難です。東京都は条例を出して、雇用主が雇用者のたえめに最低3日分の水や食料を備蓄することにしました。3日くらい会社のビルに留まる可能性が大だからです。
Q. 避難所に行けば行政の職員、ボランティアがいろいろ面倒見てくれるので
しょう?
避難所の運営は基本的に入居する避難者です。行政の職員も被災している事を忘れないでください。誰もお客さんはいません。皆で助け合っていく姿勢が必要です。職員の数には限りがあります。私の住んでいる東久留米市は人口11万人ですが、防災課の職員は2名です。救急車は2台しかありません。外部からボランティアが来るのは早くても1週間後でしょう。震災後は不安や恐れで混乱しており、皆イライラしています。前もって避難所の部屋割り配置、仮設トイレ置き場、物資置き場など運営委員会で決めておく必要があります。生活ルールは住民によって決められますので、なるべくわかりやすい、シンプルなものを皆で決める必要があります。避難所の開設にあたっては、
1)避難所スペースと非避難所スペースの区別 (立ち入り禁止エリア)
2)共有部分と各世帯の生活の場としての居住部分に分ける。
3)部屋割りは「世帯」を単位に、一人あたり最低2m平方メートルは確保する。
4)高齢者、障害者、幼児と婦人、外国人などへの配慮
などがあります。阪神淡路の震災では多くの高齢者が避難所で亡くなりました。多くは持病の悪化などです。避難所の環境、居住配置、ストレスケアなどを考慮する必要があります。また「生活不活発病」の予防策も必要です。
避難所から、さらに必要があれば仮設住宅に移ることになります。仮設住宅は災害救助法に規定され「住家が全壊、全焼又は流出し、居住する住宅がない者であって、自らの資力では住家を得る事ができないものを収容する。」となっています。使用期限は2年が原則。使用料は無料だが、水道・光熱費は入居者負担となっています。しかし、東京という所は普段住んでない人、つまりビジネスで出張して来てる人、通勤、通学で通って来ている人、観光客など、いわゆる「昼間人口」問題があり、災害が起ると生活する場所が無い人々なのです。試算では首都圏では162万人が1ヶ月以上避難生活をするようになるというのです。避難所が足りないのです。そして、仮設住宅を建てるスペース確保も問題でしょう。
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新しい視点
建物の倒壊は中にいる人の生死にかかわるだけでなく、
1.倒壊により火災が発生しやすい。
2.道路をふさぎ、避難や救援活動を妨げる。
3.避難生活が長期化し復旧、復興が遅れる
という社会悪になってしまいます。家屋の耐震化をお願いします。
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ワンポイントアドバイス
災害を考える時、防災、防犯、福祉は一体のものとして捉え「顔の見える関係」のもと地域の関係性を築いてゆくことが鍵。つまり、よきコミュニティこそが災害にも、犯罪にも強いということになるのです。地域の住民同士が話し合い、いざというときに避難の呼びかけや、誘導、救出、救助、初期消火、避難所の運営などを行うため、自主的に組織される地域自主防災組織というものがあります。防災訓練や住民への防災啓発活動も実施します。2012年4月1日現在で、全国で組織カバー率は77.4%となっています。大災害時には行政ができることには限界があります。行政にのみ依存しないで自分達の地域は自分達住民で守ってゆく姿勢が必要とされています。
ちなみに、大災害時の救出に必要な「三種の神器」はのこぎり、バール、ジャキだそうです。過去の震災では、消防署に問い合わせが多くあったようですが、消防署でもそんなに沢山置いてあるわけではありませんので、こういった資機材を町内会ごとに備えておくのが賢いでしょう。
災害支援団体クラッシュジャパン次期東京災害対策担当
日本防災士機構認定 防災士
栗原一芳
crashkazu@gmail.com
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防災士って何?
大災害の時には行政もできることが限られています。防災を国や地方団体に任せきりにしないで、国民レベルでも地域自主防災組織を立ち上げたりして意識を高め、備えをしてゆく必要があります。そこで、日頃から防災について十分な意識と一定の知識・技能を持ち、防災リーダーとして総合的な防災力向上の中心となって、行政と住民、また支援団体などの防災関連団体との橋渡しとなる存在が必要とされています。「防災士」はそのような役割を担う存在として、自宅、職場での家具固定、防災講演や研修、演習の実施、地域防災訓練への参加、ラジオ、テレビ出演、被災地でのボランティア活動などに携わっています。
日本防災士機構認定の防災士になるには、防災士研修センター主催の2日間の講座に出席し、資格試験を受けます。また、消防署などで行っている救急救命技能認定も受けている必要があります。詳しくは以下のサイトへ
http://www.bousaishi.net/
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