2013年9月24日火曜日

災害救助の法律と保険



竜巻の前兆ポイント









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1.災害救助法
1947年に制定。災害に際して国が地方公共団体、日本赤十字社、その他の団体及び、国民の協力の下に、応急的に必要な救助を行い、災害にかかわった者の保護と社会の秩序の保全を図るのが目的。法の適応基準としては、市町村の人口に応じた一定数以上の住家の滅失がある場合。援助の種類としては、仮設住宅の供与、炊き出しその他による食品の給与、飲料水の供給、衣料、生活必需品の給与または貸与、救出作業、学用品の給与、埋葬、死体の捜索、死体の処理、障害物の除去など。援助は金銭でなく、現物で行う。

2.激甚災害指定
1961年に制定。著しく激甚である災害が発生した場合に、国の地方公共団体に対する特別の財政援助や被災者に対する特別の財政援助、被災者に対する特別の財政措置に付いて定めた法律が適用される災害指定。

3.災害弔慰金法
台風や地震、豪雪などの自然災害によって亡くなった人の遺族に対する弔慰金の支給、また、その災害によって一定程度の障害が残った人に対する障害見舞金の支給、さらに住居などに被害を受けた人に対する災害援護資金の貸し付けを定めたもの。残された遺族に対し国が弔意するものであり、現金が給付される。事務の実施主体は市町村である。
 災害弔慰金
1)受給対象となる遺族:配偶者、子、父母、孫、祖父母
2)支給額:生計維持者が死亡の場合=500万円
      その他の人の死亡の場合=250万円
  適用事例として、地震のショックや疲労、車中泊などによる心筋梗塞など 
  による死亡も「災害関連死」として災害弔慰金が支給された。

4.被災者生活再建支援法
阪神・淡路大震災が契機となり1998年に制定された。2004年には支給限度額の拡充と、住居安定支援制度が追加された。さらに2007年には「定額渡しきり方式」による支給方法の導入、年齢、年収要件の撤廃などを内容とする改正が行われた。2010年には甚大な住宅被害が広域的に散在している場合にも対応できるよう、支援金の支給に関わる自然災害の拡大を内容とする政令が改正された。支給対象世帯の要件としては、住宅が全壊した世帯、住宅が半壊、または住宅の敷地に被害が生じて、その住宅をやむをえず解体した世帯。災害による危険な状態が継続し、住宅に移住不能な状態が長期間継続している世帯。住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯(大規模半壊世帯)となっている。

5.被災者雇用に関して (東日本大震災のケース)
1)被災地での損壊家屋の処理による雇用創出(環境省)
2)応急仮設住宅の建設、運営における雇用創出(国土交通省)
3)被災住宅の円滑な補修、再建の支援による雇用創出(国土交通省)
4)農地、農業用施設、海岸林、林地、漁港の復旧の推進(農水省)
                       など
6.義援金、救援物資
義援金は、日本赤十字社と共同募金が中心となって受け付け、その配分は、配分委員が決定し、給付する。被災都道府県、市町村は、国民、企業からの救援物資について、被災者が必要とする物資の内容を把握し、受け入れの調整に努める。



災害と損害保険

1.地震保険
対象:
住居のみに使用される建物および併用住宅が対象となる。工場や事務所専用の建物は地震保険の対象外となる。家財には30万円を超える貴金属、宝石類、通貨、有価証券、預貯金証書などは含まれない。

支払われるケース:
地震もしくは火山噴火または津波を直接または間接の原因とする火災、損壊、埋没または流失によって保険の対象について生じた損害で、かつ損害程度が全損、半損、一部損となった場合。

支払われないケース:
地震などの際における紛失または盗難による損害、地震などの発生日から10日経過後に生じた損害、故意もしくは重大な過失または法令違反に寄る損害、戦争、内乱などによる損害。

加入条件
地震保険は単独では契約できない。火災保険とセットで契約する。現在の火災保険に地震保険を追加契約することができる。契約金額は5000万円、家財は1000万円を上限として、セットで契約した火災保険の契約金額の30%50%の範囲内で決める。民間保険会社には地震保険以外では唯一となる住宅向け地震補償(地震被災者のための生活再建費用保険)を専門的に開発、販売しているところもある。この保険は新耐震基準を満たす持家住宅であれば、火災保険・地震保険の加入有無に関わらず、単独で加入できる。

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日本防災士機構認定 防災士
一般社団法人 災害支援団体クラッシュジャパン 次期東京災害対策担当
栗原一芳

crashkazu@gmail.com

2013年9月5日木曜日

地震と日本の原発




まず、この写真を見て欲しい。モダンアートではない。これは除染の際出た汚染土。それを袋詰めしたバッグの山。際限なく溜まってゆく。


















こちらの写真は汚染水タンク。こちらもどんどん溜まっていく。


















さらに、下図でわかるように日本の54基の原発の使用済み核燃料プールは、あと10年もするとどこも満水になる。



2011年の国連大学のリポートによると日本は自然災害リスクランキングで世界第5位。つまり、世界で5番目に危ない国とされている。日本には活断層が2000あると言われ、そのうち長期評価がされているのは110本。世界の地震の2割が日本周辺で起っていることだけみても納得がいく。そんな日本に原発が54基。一番多いのはアメリカの104基、続いてフランスの59基、日本は3番目に多い。









2007年の新潟県中越沖地震では、震度6強の地震が稼働中の刈羽原発を襲った。稼働中の原発に震度6強が襲ったのは世界初。その結果3億ベクレルの放射能漏れ、3100カ所に故障ありとされ、その後、運転再開まで2年を費やしている。たが、その経験が生かされない中、福島の事故が起ってしまった。




(震災後の福島3号機)

今回、福島第一原発事故では「想定外の津波」が問題視されているが、ここで注目したいのは、刈羽原発では津波の被害はなかったが激震により変圧器火災が起ったという事実。実は東日本大震災では青森県東通り、宮城県女川、福島第一第二、それに東海村第二原発で震度6を観測。その5つの原発すべてで事故が起っていることだ。津波の被害はそのうち1つ。あと4つの原発は激震で事故が起っている。4カ所で電源を失い、1カ所で爆発ということだ。以前に起った刈羽原発事故、志賀原発事故を含むと日本の原発は震度6以上で100%事故が発生したことになる


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知られざる東海村第二原発の危機

3:11では福島第一原発に報道が集中していましたが、東北の5つの原発すべてで事故が起っていました。特に東海村第二原発(第一は廃炉作業中)ではあわやメルトダウンという危機に直面していたのです。津波の被害は受けなかったのですが、それも危機一髪状況でした。というのも元々4.9mの防潮堤を6.1mにかさ上げする工事行われており、何と東日本大震災の2日前に完成したばかりだったからです。そこに5m級の津波がきて、わずか70cmの余裕で危機を逃れたのです。もし、工事が数日遅れていれば、福島と同じ状況となったのです。ただ、問題は津波だけではなく、激震により4カ所の外部電源は遮断されました。非常用ディーゼル発電機の一部も故障しましたが、稼働できる発電機を手動でなんとか動かし、冷温停止に持ち込んだのです。(通常冷温停止は1日でできますが、4日目にようやく停止したのです。)間一髪でメルトダウンを免れたのです。しかも、5キロ圏内に8万人、30キロ圏内には100万人が住んでいるのです。東京までも110キロ、大惨事になっていたでしょう。これを受けて16年間東海村の村長を勤めた村上氏は日本全国17の原発立地村の村長で唯一「脱原発宣言」を表明しました。


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福島では今だに、毎日400トンの汚染地下水が海に流出し、汚染水貯蔵タンクからも汚染水漏れ(それも1つのタンクだけではない)がシリアスな問題になっている。原子力規制委員会はこの事故を「重大な異常事象」であるレベル3とした。実は汚水タンクだけではない。そもそもメルトダウンした1号機から3号機までの内部が現在どうなっているのか誰もわからないという異常事態なのだ。京大原子力実験所の小出助教授によると、すでに大気中にあの広島原発の168発分の放射性物質が放出されてしまったという。また以前このブログでも紹介したが、4号機の使用済み核燃料プール問題。倒壊の可能性ある4号機のプールから1300本の燃料棒を1本づつクレーンで取り出す作業をしなければならない。(被災当時、上階が吹き飛ばされてむき出しとなった燃料プールに1000数百本の使用済み核燃が放置されていた。)日本の原発の19基はすでに築30年を経過している。廃炉にするのに40年、放射性物質の放出が止まるまでに100万年と言われている。最終処理場は決まっていない。小出助教授は「原発はトイレの無いマンション」と表現している。途方も無いものを背負ってしまったことになる。



さて、事故は起ってしまった。しかし、今大事なのは「同じ事故を繰り返さない」ということではないだろうか。地震は来る。昨今話題の「南海トラフ地震」の北の部分の震源域(つまり東海地震の震源域)のまっただ中に浜岡原発がある。震度予測では6強。東日本大震災をうけて、22mの堤防を建設中だが、写真のように砂地に立っている。大丈夫なのか。また、説明したように、事故は津波で起るだけではない。原発内は蜘蛛の巣のようにパイプが張り巡らされている。冷却装置が故障すればたちまち燃料棒の温度は上がる。もし爆発ということになると大気中に放出された放射性物質は8時間−10時間で東京に届く。首都東京が汚染地域となるのだ。南海トラフの震源域は今回の東日本大震災の2倍の1000km。千葉から鹿児島までの広範囲に激震が襲う。




東京新聞の記事にあるように、その被害総額は220兆円という天文学的数字となる。しかも、それは原発事故を含んでいない。現在福島のタンク汚染漏れ処理だけで100数十億の税金が投入される。国の年間予算は99兆円。一体どうするのか?

同じことを起こしてはならない。しかし、地震は確実にやってくる。ではどうすればいいのか。いち早く、廃炉を決定し、浜岡原発の燃料棒を他の地域に運び出すこと。停止していても燃料がある限り、永遠に冷却し続けない限り、地震事故の可能性は存在するのだ。


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日本防災士機構認定防災士
一般社団法人 災害支援団体クラッシュジャパン 次期東京災害対策担当
栗原一芳
crashkazu@gmail.com