FMコミュニティラジオの特色は何と言っても地元の情報を詳細に伝えることができる点だ。特に災害の時はNHK放送ではどうしても広範囲の一般的情報となってしまう。XX町の第六小学校でおにぎりとペットボトルの配布をしていますといった情報は地元住民にはとても有益だが、NHKでは得られない。
著者はFM西東京の「レスキュー通信」という防災番組に2回生出演させていただいた。聞いてみると田無駅など近隣の駅や警察署、消防署ともつながり、災害時のピンポイント情報(例えば田無駅前で火災が発生しているなど)を流すことができる。3万円で番組、3千円でCMが放送できるなど、比較的市民がかかわりやすいし、地元住民が出演することも多く、顔が繋がってゆくメリットがある。地上波はアンテナを一方向のみに向け、意図的に地域限定的になっている。ただし、インターネットでも配信するので、ラジオがなくてもPC、スマホからでもアプリを入れれば地上波のエリア外でも聞ける。これは意外とメリットがある。たとえば、西東京市に住んでいるが丸の内で勤務している人でも、災害時に地元がどうなっているか情報を得ることができる。
2017年1月28日に「FMひがしくるめ」開局に向けての説明が東久留米市市役所内の市民プラザホールで行われた。すでにインターネット放送はやっているが、8月に電波に乗せるべく国と調整中である。著者も一度、「FMひがしくるめ」の防災番組で話させていただいた経緯もあり、局長さんとは顔見知りである。今回の開局説明会の基調講演は自由学園危機管理本部長の簑田圭二さん。私どもがやっている教会防災ネットワーク(新座、東久留米、清瀬)のメンバーでもある。「防災とコミュニティFM」と題して話された内容からご紹介したい。
1.
まず防災は非常にローカルなもの。防災とは地域を知ること。そして、「地域」と「防災」を結びつけるのが「コミュニティFM」ということになる。
2.
災害時の情報は「迅速」かつ「正確」でなければならない。SNSは「迅速」だが、時として「デマ」が流布する。つまり早いだけに間違った情報が早く拡散することになる。熊本地震のときには、動物園からライオンが逃げたという写真つきのデマが流布してしまった。正確性の担保が必要となる。
3.
過去の災害で、総合的に役立ったメディア情報は1)ラジオ2)新聞3)テレビであった。ラジオの活用が圧倒的に高かった。
過去、大災害があると「災害FM放送局」が必ず立ち上がった。これには2つのやり方があり、1つは被災自治体が立ち上げ、独自に運営。もう一つはすでにあるコミュニティFMに自治体が委託するかたち。被災自治体が独自に運営する場合、職員も被災し、人員も足りず、実際は難しい。いきなり立ち上げるといっても開設場所、人材、コストが必要となる。1つのアンテナを立てるのに1500万円くらいかかるそうだ。また立ち上がっても、周波数を知ってもらうのにも時間がかかるし、手間もかかる。人は接触回数が多いほど親近感が増す。普段から聞いているラジオパーソナリティの声には安心感があり、従い易い。従って、震災前に立ち上がっているFMコミュニティラジオがベストということになる。
基調講演の後、パネルディスカッションがあったが、パネラーの一人が宮城県亘理町で臨時災害FM局を5年間運営した「FMあおぞら」理事の西垣裕子さん。西垣さんは、3:11後、2週間でこのラジオ局を立ち上げた。震災2年後の調査では町民の8割が聞いていたという。情報の発信には何を伝えるかだけではなく、どのように、誰が伝えるかが大事で、普段聞いているあのパーソナリティが言っていることに安心を覚えるという。近距離、顔の見える大事さを強調していた。
「今」「ここで」「あなたへ」の情報を届けられるFMコミュニティラジオの存在は重要である。
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FM東久留米インターネットラジオ 「そらじお」 スマホ、ネットで聞けます。
http://www.so-radio.com
今までは、NPOとして活動してきたが、8月の開局目指し、株式会社とし、株主を募る形で運営する。
FM西東京
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一般社団法人 災害支援団体 クラッシュ・ジャパン
次期東京災害対策担当
日本防災士機構公認 防災士
栗原一芳
(くりはら かずよし)
contact@crashjapan.com
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