東京は世界一の自然災害リスク都市
スイス再保険会社(保険会社の保険会社)「スイス・リー」が2013年にまとめた「自然災害リスクの高い都市ランキング」で東京・横浜地区が世界第1位となっている
一極集中で、人口密度の高い東京は今後、インフラを狙ったサイバーテロや政治的テロ、ミサイル攻撃の標的となる可能性が高い。福島原発や浜岡原発の災害時影響下にもある。またパンデミック(流行疫病)などの影響を受けやすい。また自然災害の被害も尋常ではない。人のいない砂漠で竜巻が起こっても、それを災害とは呼ばない。人口密集地で起これば、大災害となりうる。東京は人が多い。新宿駅一駅での乗降客が70万人以上。山手線内で生活し働いている人が900万人と言われる。東京都で1300万人。関東圏で3000万人。都心南部地震の場合、東京都で13000人の死者が出ることが予測されている。そのうち11000人は東京23区内。直下地震の場合、津波被害は無いが、建物の崩壊と火事が主原因となる。第一要因は火事で、首都圏で16000人が火事で亡くなる。約7000名が建物の崩壊やブロック塀の倒壊による死者となる。
東京は海溝型地震と内陸直下型地震、両方起こる都市
ここでは地震災害について詳しく見てみよう。地震は大きく2つのタイプがある。海溝型(海の底が震源)、内陸直下型(都心の真下が震源)東京は、この両方が起こる場所なのだ。関東の場合、海溝型は1703年に起こった元禄関東地震、1923年の関東大震災がこれにあたる。震源は相模トラフ。この間220年。次の元禄型地震はこの周期を当てはめれば2143年となるので、まだ100年は起きないことになる。しかし、2011年の東日本大震災で牡鹿半島が5.4m動く大移動があり、(首都圏でも30cmから40cmずれた)この周期が早まっている可能性が指摘されている。関東では元禄型地震の前にM7級の直下型地震が数回起きている。これが今言われている首都圏直下地震である。関東大震災以来、1995年の阪神淡路大震災まで日本は震度7を経験しなかった。関東大震災、東京大空襲を経験した東京ではあるが、戦後、みごとに蘇り、高度成長時代を迎える。1964年の東京オリンピックに向けてライフラインや首都高など、東京のインフラが立ち上がった。この間、驚くべき「静穏期」だったのである。専門家も「いままでの100年ほどは『異常』に日本の火山活動も、首都圏の地震も少なかった。」(武蔵野学院大学特任教授 島村英紀氏)と評価している。しかし、今、「普通」に戻りつつあるという。
ともあれ、東京の下には太平洋プレート、フリピン海プレート、北米プレートの3つのプレートが重なり、ひしめき合っている。太平洋プレートは年に8cm、フィリピン海プレートは年に4〜5cm日本側に動いている。そのような危険なところに1300万人の人が密集して住んでいる世界都市は他にない。
見えていない活断層
ちなみに内陸型直下地震は、どこで起きるか今の地震学で予測することはできないという。またかならずしも同じ場所で繰り返されるとも限らない。
さらに活断層に至っては何とも心もとない。首都圏では3〜4kmの堆積層があり、地下に活断層があっても見えない。見えないものは定義上、活断層ではないと見なされる。だから実際は首都圏の地下に「見えない活断層」が多々あるかも知れないのだ。安政江戸地震のように「見えてない」活断層が動いた歴史もある。
つまり、結論は次期東京の地震はどこで起こるかわからないということだ。一応、震源推定地を18パターン想定した地図もあるが、わかりにくいので、東京都は4つのパターンにしぼっている。ただ、そこで起こるというより、そこで起こった場合の被害予測を立てているにすぎない。
1)フィリピン海プレートが起こす内陸直下型地震 (多摩直下)
2)立川断層が引き起こす内陸直下型地震。
3)太平洋プレートと北米プレートの間で起こる海溝型地震(関東大震災型)
4)内陸型直下地震の一つである東京湾北部地震
4)に関しては震源は横浜、川崎あたりかもしれない。事実、今年になって政府の地震調査委員会は局所的な地震発生確率のアップデートを発表した。それによると今後30年で震度6弱以上の発生確率では千葉市85%で一番の高確率、そして、横浜市81%が続く。これを見るとむしろ東京湾北部地域は安心してしまうかも知れないが、以下の図も一応わかりやすいシュミレーションとして都心南部を震源に被害想定を出しているのであって、実際はどこで起こってもおかしくないことを知るべきだ。
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一般社団法人 災害支援団体 クラッシュ・ジャパン
次期東京災害対策担当
日本防災士機構公認 防災士
栗原一芳
(くりはら かずよし)
contact@crashjapan.com
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