都心部で地震に会ったら・・・・(実践編)
前回、書きましたが、最大震度7の直下型だった阪神・淡路大震災では、死者の87.8%が家屋などの倒壊による圧死、10%が焼死でした。(多くは火災時に建物に挟まれて動けなかったのです)耐震補強と家具の固定は基本です。
オフィス
オフィス、ことに高層ビルのオフィスではコンピュータやコピー機などの固定、
(これらが凶器になります。)棚の固定などは基本中の基本対策です。最近の高層ビルの場合、倒壊は無いでしょうが、長周期地震動で4mの水平の揺れが10分くらい続きます。そして、逃げ道の確保をしてください。出口を塞ぐ可能性のあるものを出口付近に置かないように。原則は、重いものは下、軽いものを上に。地震が来たら、窓から離れ、机の下に。仰向けはダメです。コントロールできなくなります。4つんばいで、テーブルの足を掴む用にしてください。私は池袋の防災会館のシュミレーション・マシーンで震度7を体験しましたが、テーブルの下に入ってもテーブルの足を掴んでないと振り回されてしまいます。また、机の下の隣の人とぶつかってしまいます。机が無い場合は壁や柱の近くで壁側を背にしてL字に。出来る限り、ファイルやカバンで頭を保護してください。普段から自分のデスクの回り、上に何があるかを確認しておいて、凶器と化すものが無いか、知っておく事が大事です。最近、大手会社の社員から聞きましたが、3:11の時、誰も避難指示をしてくれなかったと。自分の身は自分で守るようにしておいてください。
又、高層ビルの場合、数日閉じ込めになる可能性もあるので、非常食をデスクに保管しておく事も必要でしょう。繰り返しになりますが、トイレは大問題で、中央防災委員会の発表では、東京23区で81万7000人がトイレに行けなくなるというのです。千代田区ではトイレは4−5時間待ちとなるそうです。特に女性の方は対策が必要です。
また、帰宅難民が517万人です。都内に友人や知人が居る場合、前もって対策を話し合っておきましょう。会社に宿泊の用意がある場合は、無理して帰らないほうが良いかも知れません。大地震の時は緊急車両用に幹線道路は封鎖されます。又、車道は落下物などで車が通れない可能性が大なので、移動は自転車がベストとなるでしょう。安いものなら1万円程度で買えます。ある程度の現金を携帯していることをお勧めします。
高層マンションの場合は1週間程度、閉じ込めを覚悟して水や食料、ガスコンロなど用意しておいてください。また、マンションの自治会や管理会社と話し合って、可能なら5階ごとに水や食料を保管しておくことをお勧めします。
エレベータ
エレベータ閉じ込めが12000人と予測されています。地震の揺れを感じたら、全ての階のボタンを押し、とにかく出てください。最近のものは近くの階に止まるようになっています。ドアが開かなくなった場合、「非常用呼び出しボタン」で管理会社を呼び続けてください。ただし、道が閉ざされるので、管理会社はすぐ来れないと理解しておいてください。また、エレベータの天井のフタは開きません。無駄なエネルギーを使わないで、動かないで待ってください。家を出る時はカバンにラジオ、インターネットにつながる携帯電話、レジ袋、笛を携帯されることをお薦めします。笛は閉じ込められた時に知らせるため、レジ袋は万が一のトイレ用です。
地下道/地下鉄
ある防災の本には地下は地上の3分の1の揺れとありました。3分の1かどうかはわかりませんが、私は3:11の時、有楽町の東京国際フォーラムの地下階にいました。もちろん、大きな揺れは感じましたが、後で聞いた高層ビルの状況に比べると落ち着いていたように思います。地下階のセミナーに集まっていた人々は始めの揺れでは座ったままで避難してませんでした。狭いところはダメですが、国際フォーラムのように構造がしっかりしていて、スペースがある地下は、モノが落下してくる町中より安全と言えるでしょう。ちなみに地下道には60mごとに非常口がありますので、あわてず、出口に進みましょう。
地下鉄に恐怖を感じてる人は多いようです。地震が来て、一時的に停電になっても非常用電源で約1時間は電灯はついています。あわてて線路に降りないように。高圧線があったりして危険です。震度7では電車は脱線しますが、おそらく揺れ始めると減速するので、実際は脱線の可能性は少ないのではないでしょうか。最悪の場合は、真っ暗になっても携帯の明かりで壁づたいに、風上を目指していけば出口にたどり着けるでしょう。
------------------
携帯しておいたほうがいいもの
—ラジオ
—レジ袋
—笛
——————————
小さな水ボトルも携帯できれば万全ですが、少なくも地震が起こったら近くの自販機で水を確保しておきましょう。
自宅
木造2階建ての場合はなるべく2階に寝るようにしてください。1階部分がつぶれてしまうこともあります。家具の固定は基本です。特に寝てるところに落ちて来ないように、落下物や倒れて来るものが無いか、よく注意してください。3:11でも練馬の高層マンションの15階では冷蔵庫が倒れたそうです。食器棚の扉にかんぬきを。又、窓に割れ防止フィルムを貼るなども必要です。ガラスや皿が飛び散っているかも知れません。素足で怪我しないように、枕元にスリッパを用意。また枕元に携帯ラジオ(地震の情報をすぐ聞く)、メガネ使用者は、ケースに入れたメガネ(ところで予備メガネも1本作っておくといいです)を置いておくようにします。火災や建物倒壊の時、即座に持って行けるよう、懐中電気、貴重品、重要書類など、バックパックや、小さなスーツケースに入れて用意しておくといいでしょう。ちなみに、電池のいらない手動式ラジオ付きライトが1500円−2500円で買えますので、1台は買っておくことをお勧めします。料理中の場合、まず、机の下へ。最近のコンロはマイコンが付いていて揺れが起こると自動的にガスが止まります。ライフラインが止まることを想定して、飲み水の保管。その他に使う水のため、風呂に水をはっておくのも助けになります。水が止まれば、トイレが使えません。非常用トイレも必要でしょう。便器が使える限りは、非常トイレ用のビニール袋(凝固剤付き)で間に合います。
一度、東急ハンズの防災グッズ用品のセクションや、アマゾンの防災グッズなど目を通しておくのもいいでしょう。近くの広場や避難所になる小学校など確認しておくことも必要です。自治会の防災訓練などにも参加しておくことが必要でしょう。是非、家族で一度、防災の事を話し合ってください。
災害時の連絡にはNTTの「災害用伝言ダイヤル」があります。災害時の通話規制中でも使えます。「171」をダイヤルし、録音の場合は「1」ガイダンスに従って30秒録音できます。再生は「171」から「2」ガイダンスに従って、登録ナンバーを入力すると録音メッセージが聞けます。また、携帯が使えない場合を考えて公衆電話用の10円を用意しておくことも必要です。停電やシステム障害で、ATMが使えない場合も想定して現金をある程度持っている事も必要でしょう。
最後に災害後の人々の心理的変化を知っておく事も役立ちます。
1.災害後の「茫然、自失期」
2.被災者同士が強い連帯感で結ばれるハネムーン期
3.直後の混乱が治まり始め、被災者の不満が噴出する「幻滅期」
4.復旧が進み、生活の目処が立ちはじめる頃の再建期
-----------------------------------------------