2012年10月17日水曜日

「緊急救命の備えを」



大災害では、個人の備えが基本。以前にお分ちしましたように、阪神淡路大震災の場合は自力で瓦礫から這い出て助かった人が2割、隣の人に助けてもらったのが7割、公共の助け(いわゆる制服組)に助け出されたのは1割だという。

阪神淡路の被災者の証では、初日、自分達で近所の人82名を助けた中で命が助かったのは60名、3日目には19名を救い出したけれど助かったのはゼロだったそうです。いかに初日の救出作業が大事かということです。実際、火事になっても消防車は物理的に来られないのです。物理的とは先ず、道にヒビが入っていたり、落下物があったり、電柱が倒れていたりで車が通れない。それよりも、東京消防庁にはポンプ車が全部で488台、救急車は何と231台しかない。(ちなみに私が住んでいる東久留米市には救急車が2台しかない!)

1.生き埋めになるな
阪神淡路では死者の90%が家屋の倒壊による圧死。残り約10%は、火災による死者。圧死者は1階で寝ていた方が多く、倒壊家屋でも2階に居た人は助かっている。東北は雪の重さでつぶされないように屋根が軽くて倒壊に強い造りになっている。また、プレハブはほとんど被害がなかった。逆に、沖縄などでは台風で屋根が飛ばされないように瓦等で重い造りになっており倒壊しやすい。生き埋めになった場合、閉じ込められた場合用に小型の笛を携帯しておくことも助けになる。

2.火を出すな。
阪神大震災の場合は火の始末が出来た人は40%。初期消火が鍵。家庭に
も消火器を装備し、使い方を知っておく必要があります。消火器はアマゾンなど通販で買えます。火を消すチャンスは揺れを感じた時。揺れが収まった時(大きな揺れは1分程度)、出火した時(1−2分程度では燃え広がらないので、落ち着いて消火する。)

3.怪我をするな。
  落下物、散在したガラスに注意。救急車が足りないので、電話がつながれ
  ば、#7119で怪我や病気の状況を説明して救急車を呼ぶべきか相談できる。
  病人、負傷者を見たら、先ず、観察します。

1)大量の出血があるか。
2)意識はあるか。「もしもし、大丈夫ですか」と声をかけ反応を見る。
3)呼吸はあるか。胸が上下に動いているか、はく息が感じられるか。
4)手足は動くか、顔、皮膚の色、温度など。

通常時、東京都内で救急車が要請を受けてから現場に到着するまでの平均時間は6−7分。この6−7分が傷病者の生命を大きく左右する。まず、119番する。そして、助けてくれる仲間を集める。自分が現場を離れられない場合は、そこに居る人に119番の連絡、また、他の人にAEDをもってきてくれるよう頼む。心肺停止の場合はすぐに心肺蘇生(CPR)をする。1分間に100回のテンポで、30回。その後で出来る場合は、人工呼吸を2回、そのサイクルを継続する。胸骨圧迫は胸が5cm沈むまで。気道確保のためあご先を持ち上げながら、額を後方に押し下げ、頭を反らす。心肺蘇生が5分以内に開始され、AEDまでが10分以内に行われた場合、生存率は37%、心肺蘇生が5分以上経ってから開始され、AEDまでに10分以上経過した場合は生存率は0%近くになる。

AED(電気ショック)は、まず電源を入れる。すると音声メッセージが流れるので、その通りに行動する。電極パットの1つは鎖骨の下側、1つは脇の下から5cmくらい下側に取り付けます。大事な事は、心臓の状況解析の時と、電気を流す時は傷病者に触れない(感電の危険もあり)ようにする。

避難所には小中学校が指定されているが、23区の小中学校の34.1%が築40年以上。(これは、全国平均の2倍)予算が無いので耐震補強工事は進んでいない。避難所の中も安全とは言えない場合がある。また、普段でも、日本では年間平均10万人の突然死が起っている。突然死の原因は主に心臓発作と脳卒中。災害のストレス下で突然体調を崩す人も出る。

救命、応急手当の訓練を受けておく事が助けになる。実際は地元の消防署を会場に講習会が行われるが、講習会予約は財団法人 東京救急協会(03−5276−0995)へ。

2012年10月3日水曜日

「南海トラフ地震と津波被害」



 関東大震災型の相模トラフを震源とする地震は200数十年に一度M8クラスで起る。それが起るまでに数回のM7クラスの首都圏直下型地震が起ると予測されている。歪みはたまってきており活動期に入っている。マグニチュードは1上がるとエネルギーは32倍になる。海溝型地震の関東大震災はM8(7.9)で震度は6だったが、今度の首都圏直下型では震源が真下なのでM7でも震度7が出る。東京湾平均水面を0とすると、満潮時でプラス1m、満潮時の津波でプラス2.2m—2.6mと推測され、堤防の高さが3.5mなので津波での大きな被害は出ない事になっている。東京湾の海底は50メートルほどで比較的浅いためだ。ただし、震度7という激震と液状化で水門や堤防がダメージを受ける事は無いのか?実は東京は280kmに及ぶ堤防で守られている都市なのだ。荒川沿いにゼロメートル地帯が広がり、そこには約150万人が住んでいる。前回の3:11でさえ、浦安や湾岸の火力発電所では液状化現象が見られた。対策は十分進んでいるのだろうか?ちなみに避難所に指定されている東京23区の小中学校は築40年以上が34.1%で予算不足から耐震工事は進んでいないようだ。




(図)は「川の手地区」ゼロメートル地帯


本所防災館では液状化の実験を見る事が出来る。乾いた土地の家が揺れの後、水浸しになり傾いて沈んでゆく。電信柱は倒れ、マンホールは浮き上がる。水害は津波だけではないのだ。



つい、8月29日に内閣府中央防災会議が南海トラフ地震の最新被害予測を公式発表し、各新聞の一面を賑わせた。地震の規模はM9。死者最大32万人。7割が津波被害。静岡は最多の死者で10万人。13mの巨大津波が予測されているが、初波は何と2分で到達。海溝の地震では津波はジャンボジェットの早さで移動してくる。津波は30センチで死者が出始め、70センチで死亡率71%、1メートルで100%の死亡率という。津波は圧力の壁だからだ。そのエネルギーに人は為す術も無い。ただし、「早期避難率」が高いと半分から9割近くも減るという。防災、避難で「32万の死者が6万人に減」という試算に希望を見いだす。ここに防災の意義がある。

最悪は、高知県黒潮町で34メートルの津波。初波は8分で来る。大阪、名古屋でも5mの津波。大阪では全倒壊も33万7千棟。浸水面積は(浸水深1センチ以上)の最大値は静岡、高知、三重の3県でいずれも羽田空港の約12倍の150平方メートルに及ぶ。東海地震は単独で起きた事が無いので、東海、東南海、南海の3連動地震の懸念が高まっている。

品川、千葉は3m、江東区には3時間5分で津波が到達。行政も一般の商業施設とも協力して津波避難所を確保するよう努めている。千葉県船橋市は、市内に大型商業施設がある三井不動産やイケア・ジャパンなどと、津波警報の発令時に一時的な避難場所として使用できるよう協定を結んだ。約430店が入る「ららぽーと TOKYO-BAY」や、家具などを扱う「IKEA船橋店」の駐車場や屋上を開放。ららぽーとは約1万8千人、IKEAは約5千人を収容できる。船橋市は東京湾に面しており、市内の高層マンションにも3階以上の廊下などの共用スペースの提供を要請。これまでに、計18カ所で約6万4千人が一時避難できる態勢が整ったとしている。