東京湾に蓄積する放射能
東京上空の放射能が雨で、川に落ち、東京湾に流れ込んでいる。江戸川付近は世界基準限度の年間1ミリシーベルト(毎時0.1マイクロシーベルト)を超えている個所がある。放射能は東京湾に堆積されてきている。一般的に飲料水では200ベクレル、肉、魚では500ベクレルまでが基準とされている。東京湾の水を直接呑んだり、釣れた魚を食べたりしている訳ではないので、今のところ心配は無いが、数字は図のようなっていることだけは知っておいた方がいい。
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東京電力福島第一原発の事故に首相補佐官として対処した細野豪志氏が朝日新聞のインタビューで、2号機の原子炉格納容器が壊れる危機に直面した2011年3月15日未明、首相官邸に詰めていた東電の人たちが「原子炉はもはや制御不能」と語り、作業員の撤退もやむを得ないという雰囲気が官邸内に広がったことを明らかにした。当時の官邸が公式記録や報道で伝えられてきた以上に緊迫していたことを示す証言だ。(2014年6月2日 朝日デジタル)
東京電力福島第一原発の事故に首相補佐官として対処した細野豪志氏が朝日新聞のインタビューで、2号機の原子炉格納容器が壊れる危機に直面した2011年3月15日未明、首相官邸に詰めていた東電の人たちが「原子炉はもはや制御不能」と語り、作業員の撤退もやむを得ないという雰囲気が官邸内に広がったことを明らかにした。当時の官邸が公式記録や報道で伝えられてきた以上に緊迫していたことを示す証言だ。(2014年6月2日 朝日デジタル)
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フクシマ原発のメルトスルーした放射性物質は、今でもどうなっているのか確認できていない。しかし、それでもフクシマの事故は危機一髪で救われたとも言える。東電の人たちの発言によれば、原発は「制御不能状態」だった。あわや東日本壊滅だったのだ。しかし、今度、「不幸中の幸い」ではなく「不幸中の不幸」となったら?
原発事故では全員避難は不可能!!
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静岡県は昨年、南海トラフ巨大地震と津波が発生し、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)で重大事故が起きたと想定した避難シミュレーションを発表した。避難指示後、原発から半径31キロ圏にいる86万人が避難し終わるまでに32~46時間かかるという。避難指示の18時間後に爆発した東京電力福島第一原発事故を重ねると、「一部住民が被曝(ひばく)する可能性が高い」としている。
静岡県によると、地震と原発事故の複合災害を想定した本格的なシミュレーションは全国初。浜岡原発は南海トラフ地震の想定震源域に立地し、2011年に当時の菅直人首相の求めで運転を停止している。県は国による放射性物質の拡散予測を基に、避難計画の策定が必要な地域を原発から31キロ圏としている。対象地域の人口では全国の原発の中で2番目に多い。シミュレーションでは、津波で沿岸部の道路が使えない中、1世帯あたり1台のマイカー計28万台で避難することを前提に、県による規制の有無など12のケースで避難指示から避難完了までの時間を試算した。(2014年4月24日 朝日デジタル)
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九州では、今なお阿蘇山、桜島が噴火状態、宮崎県では、2011年に本格的火山噴火した新燃岳(しんもえだけ)の火口付近の温度が高いままだ。鹿児島県、川内(せんだい)原発の再稼働が話題になっているが、こちらも避難シュミレーションによると28時間はかかるという。こちらもフクシマと同じ事故が起れば、避難しきれない人が出る。
ちなみに、PAZ(予防的防護措置)の範囲が5キロ圏内。これは強制退去となる。UPZ(緊急時防護措置準備区域)は30キロ圏内。もちろん実際には風の向きなどで同心円に放射能が広がる訳ではない。放射性雲となり30キロ圏は裕に超えてしまう。浜岡原発なら都心まで110キロ程度で、風に乗って8時間ほどで放射性物質が届いてしまう。首都圏は、十分に被曝範囲に入る。
原発テロ — 東京ブラックアウト
もちろん、原発事故は自然災害だけでなく、原発テロもありうる。現在では「イスラム過激派」自爆テロも十分にありうる。電源さえカットできれば、原発そのものを破壊しなくても、冷却装置が作動しなくなり、最悪メルトダウンが起きうる。現役霞ヶ関官僚の若杉氏が書いた「東京ブラックアウト」が昨年12月に出版されたばかりだが、フクシマ後の原発事故を非常にリアルに描いたフィクションだ。
年末に起きた雪深い地域での朝鮮族工作員による原発テロ。小説では名前を変えてあるが、場所は新潟県柏崎原発と推定される。冷却装置故障、炉心の高熱化、水素爆発、メルトダウン。放射線プルーム(放射性雲)により、東京が高濃度の放射能に汚染される。人が住めなくなり、政府機構、皇室の移動を含む、関西への遷都を余儀なくされるというストーリーだ。最悪のシナリオではあるが、非常に現実味がある。
● 工作員が原発付近の鉄塔を倒し、通常電源が切断される。即、原子炉を冷却するバッリー電源を使用するが、残量がすぐ無くなる。非常用のディーゼル発電機を始動させようとするが、気温は氷点下9.5度。エンジンがかからない。
● そこで、外部電源車を使おうと思うが、電源車の車庫棟は津波を避けるため高台にある。そこに行く道は50センチの積雪で阻まれる。
● 除雪車は幹線道路の除雪のため出払っている。除雪車の運転手の携帯番号もわかず、連絡の取りようがない。
● 原子炉の温度と圧力が上がるが、住民が全員避難しないと、ベントができない。
● 一時避難所に来るはずの民間のバスは来ない。民間なので強制力もない。運転者が逃げてししまえば、動かせない。
● 補聴器をはずしている高齢者は防災無線の放送に気づかない。声かけするはずの青年、壮年も家族を乗せて自家用車で避難してしまっている。
● 道路は、あっと言う間に車で埋め尽くされ、大渋滞となる。従って、他町村からの消防や警察も入って来れなくなる。
● ベントをして内部圧を逃がさないと、格納容器が爆発し、首都圏は消滅する。しかし、今、ベントすると地元町民は被曝する。県知事や首相は難しい決断を迫らる。
● 水素爆発が6号機、7号機で起こり、2炉心分の放射性物質が大気中に放出。170ロ圏内が年間50ミリシーベルトの強制移住レベルなる。北西の風に乗って放射性プルームが関東平野を襲ったら、250キロ離れた東京も人が住めなくなる。
● 原子炉格納機近くは、猛烈な線量で死を覚悟しなければ作業ができない。おのずと作業できる人の数は限られてくる。フクシマでは9割の所員が第二原発に退避していた。
● 政府は被曝限度を引き上げる。住民の被曝限度を年間20ミリシーベルトに、(国際限度の20倍、これは福島の子供達に適用された。)、作業員には50ミリシーベルトから500ミリシーベルトへ変更。
● 深刻なガソリン不足。弱いものが出遅れ、仮に避難の車が手配できたとしても、ガソリン不足で、幹線道路の路肩に自動車ごと取り残される。高濃度の放射能で嘔吐のうえ窒息死するか、凍死するかである。
● 爆発後の原発は手がつけられず、放射性物質はどんどん大気中に放出される。それが放射性プルーム(雲)となり、関東平野へと広がる。今回はSPEEDIのデーターを隠す事ができず公表するので、そのニュースを知った首都圏の人々の大脱出が始まる。空港、駅、幹線道路は大パニックとなる。ついに例外的な戒厳令が出される。
ありえない話だろうか?
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「東京ブラックアウト」 講談社
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一般社団法人 災害支援団体 クラッシュジャパン
次期東京災害対策担当
日本防災士機構公認 防災士
栗原一芳
(くりはら かずよし)
contact@crashjapan.com
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